転生して神。[新光神話パルテナの鏡] (ページ21)

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信頼。ページ21

カツン、コツン。

静かな神殿に、大理石と靴底の擦れる音が響いている。

カツン、コツン、カツン…。

…ぴたり。

手を繋ぎ、後ろについている彼女から問いかけられる。

「ピット殿、私を易々と信用して大丈夫なのか…？」

低く悲しげな声。

パッと、振り向く。

まさか。

いや、彼女はそんなことをするひとでは…。

声が続く。

「いや、裏切るつもりは無いが。ただ、警戒心が足りていないのではと…。」

きゅっと、顔をしかめた彼女の、悲壮感に溢れた瞳がこちらを見据えた。

姉が弟を心配するような、とても心配そうな瞳。

…なんだ、そんなことか。

昨日のパルテナさまのグチを思い出す。

『彼女は、冥府に追放したメデューサがわざわざ自慢する程の者です。
いえ、彼女だけで無く、冥府の神々も…。
敵に回せば、確実に最強の敵となります。
彼女の武器は魔力でもなく、神の力でもない、純粋な戦闘の技術です。
…イカロス達の、あの数であそこまで抵抗が出来るとは…
とはいえ、彼女自身は礼儀を重んじる節と天然な節があるようです。
正々堂々メデューサの言ったように真正面から来たことや、
敵陣に向かうと言うのにわざわざお土産を持ってきている事から伺えます。
…それを考えると、まだ若い彼女にはあの不意打ちの件は流石に大人気なかったですね…。』

彼女は、自身が信頼に値しないと思っている。

けれど、あのパルテナさまにここまで言わしめるひとだ。

間違いなく良い人、と、ボクは思っている。

ピ「それはね、パルテナさまもキミのそういう所は認めているからだよ！
パルテナさま、『あの不意打ちの件は流石に大人気なかったですね』って言ってたし…。

…キミのまっすぐな所は、イカロス達も認めている。無論、ボクも。
キミと剣を交えたからこそわかる。キミの主を思う気持ちがわかる。
…キミの、主を信頼している様子からもわかる。
キミは、元々キミの主の対の存在であるパルテナさまに易々と危害を与えられない。
キミはパルテナさまを敵ではなく、神として見ているってパルテナ様が言ってた。」

だから、心配しなくていい。

『彼女は…Aは、本当に、対立する気持ちがあるのでしょうか。
…いくら天然でも、礼儀を重んじていても、お土産を持ってくるのは異常です。
私達を敵としてでなく、一柱の神として対等か、それ以上に見ている事が伺えます。

……少し、彼女を呼んで来てくれませんか？』

きっと、パルテナさまはキミを認めてくれるから。