幼馴染だからって油断したらダメだよ？【時透無一郎】

２７　特別な ページ31

〜戸枝Aside〜

むいくんがチケットを用意してくれたおかげで、長蛇の列を成しているチケット売り場に並ばなくて良くなった。本当にありがとう。そんな気遣いが彼の好きなところの一つだ。


チケット確認のお姉さんが無一郎を呼んで、何かを伝えている。楽しそうな様子を見て、何か黒いものが自分を巣食うのを感じた。
私の方に戻ってきたとき、手を握ってみた。すると、恋人つなぎにつなぎ直され、顔が赤いと顔を近づけられ、、、。

彼は本当にズルい人。私の心を何だと思っているんだろうね。
そこも、、、好きだけどさ、、、。


　
無「ねえ、そろそろお昼にしない？朝早かったから、お腹空いちゃった。」


A『うん、そうだね。何食べようかなぁ？』


ああ。胸がドキドキする、、、。けど、きっとこの非日常で一緒にいられているからだよね。
繋いだ手のぬくもりを感じながら一緒にレストランへ入った。



A『美味しかったねぇ。はぁ〜。次、何乗る？やっぱりジェットコースター？あー、フリーフォールも乗りたいなぁ。』


無「ちょっと待ってね。店員さん、アレ、お願いします。」


店「かしこまりました。」


A『どうしたの？何かあった？あっ！』



店員さんが運んできてくれたのは、少し小さめのケーキ。二人で食べるからかもしれない。
そして、ガラスのプレートには

"A、16歳の誕生日おめでとう
２０××年７月２３日 時透無一郎より"

と書かれてあった。
多分彼からのプレゼントはこれだろう。きっと形に残るものをプレゼントしたかったんだと思う。


無「A。生まれてきてくれて、ありがとう。」


ふわっと抱き締められ、彼の匂いが鼻腔をくすぐる。

A『私も、、、。生まれてきて、無一郎に出会えて、、、良かった、、、。』




悲しいことだって、辛いことだって、、、
むいくんと一緒なら、乗り越えられる気がするよ。

ずっとそばにいてね。

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