恋は儚く時に残酷なもの。 ページ8
kiside
不安性の私に裕翔がくれた約束は、私の光だった。
お母さんの死に気分はどん底。
それでも幼い2人の手前、気丈に振る舞うと決めていた。
少しでも慰めてくれたらと期待して、電話をかけた。
でも…電話口で聞こえてきたのは楽しそうな裕翔。
yt『今忙しいから用ないなら電話しないで?』
その言葉に私の心は砕けちった。
子供じみた約束。
今となればそんな事でも…当時の私には耐えられなかった。
見えないものを信じるのは怖い。
不確かなものなどいらない。
それでも時に人恋しくなり、隙間を埋める恋をした。淋しさを紛らわす一瞬の心地よさだけで十分だった。
再会した裕翔は、すっかり大人へと変貌していて、やっぱりときめく自分に気付いたと同時に、あの時の事なんてなかったかのような姿に胸が痛んだ。
結局、想いを捨てきれてなかったのは私だけ。
だから、裕翔からやり直したいと告げられた時、嬉しさよりも裕翔の気持ちに疑いを持った。
それでも欲張りな私はこの繋がりを消したくなくて、身体だけの関係に導いた。
裕翔と過ごす日が増えれば、高鳴る想いは溢れでる。でも苦しむのはわかっているから踏み込めない。
気持ちを封印する為に彼氏を作ってもうまくなんていきっこない。
それでも、いつか信じれるようになると言う期待は日毎に増え、その一方で疑心の方も強くなる。
裕翔の気持ちに向き合えないのなら、側にいてはいけない。
そんな事を常に思っていても、側にいられる嬉しさに、この関係を自ら絶つ事なんて出来ずにいた。
浅ましい自分が嫌いだった。
家に着き、痛む全身を引きずるように部屋にこもり、残る理性を総動員して漏れる嗚咽を隠した。
ふと優しい腕が身体を包む。
hk『…独りで泣かないで。』
光は震える私に何も聞かず、あの日と同じようにしっかり抱きしめられる。
すがりついて泣きながら全てを話し、そのまま眠ってしまった。
朝起きれば酷い顔。
こんなんじゃ会社に行けそうもない。
今は幸い急ぎの仕事もない。
今日は休ませて貰おうと上司に断りの電話を入れ、またベッドへと戻る。
夢への1歩もまた遠くなると情けない自分に嫌気がさす。
ごめんね。裕翔。
貴方を信じられなかった私は貴方に愛される資格はありません。
最後に強く酷く抱かれて、身体にも心にも裕翔の存在を刻みつけられて本望だった。
そうだったはずなのに涙が止まらない。
裕翔の笑顔に逢いたくて仕方がない。
でも…もう逢ってはいけない。
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作者名:一斤染 | 作成日時:2016年11月7日 17時