検索窓
今日:9 hit、昨日:3 hit、合計:168,632 hit

歪なフォンダンショコラ。【バレンタイン番外編】 ページ47

kiside


あーでもないこーでもないと文句を言いながらも出来たのは、お世辞にも綺麗とは言い難い代物。
これを渡す位なら、デパートのチョコの方が美味しいはずと言い切った私に
kt『…違うよ。裕翔くんにとっては慧姉さんが作った事に意味があるんだ。』
と圭人に押しきられたバレンタイン当日。
馴染みの居酒屋でご飯を食べて、その後はいつも通り裕翔のマンションへ。


yt『あー。疲れた。今日はファッション紙だったから気疲れしたよ。』
そう言って荷物を降ろせば紙袋からいくつかチョコが出てくる。
…どれも見たことのある有名チョコ。美味しそう。
「フフッ、相変わらずモテるね〜。」
そんな軽口を叩きながらチョコを物色していれば、明らかに他とは違う可愛い包みを見つける。

「これ…。」
着替えていた裕翔にそのチョコを渡せば
yt『うわぁ〜りかチャンは手が込んでるなぁ〜。』
なんて…包みを開ければ中から出てきたのは粉砂糖のハートが可愛い綺麗に出来たフォンダンショコラ。
yt『りかチャン、料理得意でたまに現場に作って来てくれるだよ。どれもめちゃくちゃ美味しいんだ。』


…こんなの見せられて渡せる訳がない。
そんな私の様子に気づきもせずペラペラと話す裕翔に一気に気持ちが萎んでいく。
上機嫌な裕翔に生返事でしか返せず、そのままお風呂へと逃げる。


お風呂で気持ちをリセットしようとしても浮かんでくるのはネガティブな事ばかり。
こんな気持ちになる位なら手作りなんてしなければ良かった。
毎年同様、ブランドのチョコを買って来れば良かった。
自分が惨めで仕方がない。


落ちた気持ちを引きずりながらリビングへ戻れば
「んなッ!!!ちょっと!!!」
テーブルの上にあったのは私が作った不細工なフォンダンショコラ。
慌てる私を無視して口に入れる裕翔。

yt『うん。旨い。』
そう言って笑う。
yt『貰ったチョコの袋の中に知らない箱があってカード見たら…僕待ちきれなくて。』
「………ごめんね。」
yt『何で?最高のバレンタインだよ。そりゃあ、りかチャンのフォンダンショコラの方が綺麗かもしれない。でも僕にとっては慧が作ってくれただけで最高の贈り物だよ。』
そう言い切る裕翔に思わず飛び込んでしまう。
優しく受け止め撫でるその手を離したくないと強く感じた。

【これからも末永くよろしくね。 慧。】

もっと料理勉強しよう。
そして来年はもっと喜んで欲しい。
言葉に出来ない想いを胸に刻み込む。

進展マカロンチョコ。【バレンタイン番外編】→←万感シャンパントリュフ。【バレンタイン番外編】



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (157 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
272人がお気に入り
設定タグ:Hey!Say!JUMP
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:一斤染 | 作成日時:2016年11月7日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。