岡本さん家の恋愛事情２。 (ページ46)

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万感シャンパントリュフ。【バレンタイン番外編】ページ46

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圭人の凡ﾐｽにより、手作り貰っちゃおう大作戦は本人達にバレるというお粗末な結果に終わる。
それについて何も言ってこない侑李。
なんだ？これは少しは期待してもいいのか？

しかし結局、バレンタイン当日は仕事の為逢えず仕舞い。
何時に終わるかわからない仕事帰りを待たせるのは気が引けるし、侑李も大学が忙しいから仕方ない。
恋人としての初めてのバレンタイン。
なにもないのは悲しいが、週末には逢うんだしその時にはと凹む自分を慰める。

残業を終えて部屋に戻り、着の身着のままﾍﾞｯﾄﾞは横になっていれば、ｺﾂﾝｺﾂﾝと窓に何かが当たる音。
何かとｶｰﾃﾝを開けてみれば、向かいの部屋の窓に座る侑李の姿。
「おい。危ないだろ。それに光の部屋だろ。怒られるぞ。」
yr『ひかはお風呂だしバレないよ。ねぇ…ちょっと降りてきて。』
そう言って窓とｶｰﾃﾝを閉め部屋灯りが消えた。

ｺｰﾄを羽織り玄関先に出れば、侑李も出てきたところだ。
yr『まだｽｰﾂだ。お疲れ様。残業？』
「あぁ。さっき帰って来たところ。」
yr『そっか。…今日はﾁｮｺ貰えた？』
「貰った。毎年恒例の義理ﾁｮｺ。社会人になると付き合いってもんがあるからな。慧だって毎年大変そうにしてるじゃないか。」
このｲﾍﾞﾝﾄのせいで、毎年この日の朝に会う慧はいつもより重い荷物を抱えとても不機嫌だ。

yr『…本命は貰った？』
……へぇ～。気にしてんだ。ﾎﾟｰｶｰﾌｪｲｽを装う侑李。
「…くれないの？本命ﾁｮｺ。」
と言えば俺の言葉に頬を赤らめ目を泳がせる。

思った通りか。
普段、危ない事などするﾀｲﾌﾟではない侑李が窓に座っていたのを見た時から抱いていた期待が確信へと変わる。
毎年この時期に残業の多い俺に負担がかからないよう、あえて約束をせず帰りを待っていたと言ったところか。
全く可愛いやつめ。

yr『あげる。』
そうぶっきらぼうに告げ渡されたのは茶色の小さな紙袋。
これは手作りは失敗か…。残念な気持ちを隠し
「ありがとう。」
yr『…まぁ美味しいかは保証しないけど。』
そう言うとそそくさと家へと帰って行った。

部屋へ戻り袋の中の箱を開ければ、出てきたのは少々不恰好なﾄﾘｭﾌ。
圭人よ。良くやった。

一口かじれば広がるｼｬﾝﾊﾟﾝの風味に、侑李が考えてくれた事を強く感じる。
ﾄﾘｭﾌの下のｶｰﾄﾞには
【ﾎﾜｲﾄﾃﾞｰは5倍だから。侑李。】
の文字。

恥ずかし紛れのこの毒かよ。
可愛すぎる侑李に悶えに悶えまくった。