焦りと葛藤。 ページ21
ybside
最悪な休日出勤。
なんで休みの日までこんな固苦しいスーツなんて着なくては行けないのか…。
まぁ、しがないサラリーマン。取引相手にそんな事は言えず。取引も無事成功し、彼氏と会うという同僚と別れ帰ろうとすれば名前を呼ばれ振り返る。
声をかけてきた裕翔と山田先生に連れられ飲みに行く。
飲みたい気分だったし、丁度良かった。
テキトーにつまみと酒を頼み乾杯をする。
「そういえば婚約おめでとう。」
と言えば満面の笑みでありがとうと言う裕翔。
「でも…付き合ってはなかったんだろ?どうやったの?」
そう興味本位で聞けば
yt『…色々あって臆病になってたけど…好きな気持ちだけは消せなくて、全てをぶつけてみたら漸く受け入れてくれたんだ。』
そう言う裕翔はどこか切なげだ。
「なんだか意味深だな。まぁめでたい事にはかわりないか。」
そんなこんなで酒も進めば話は俺らを悩ます姉妹へと移行する。
yt『それにしても、もしかすると僕達義兄弟になるかもしれないんだもんね。不思議なもんだよ。』
そんな一言に驚き山田先生を見れば
ym『俺は近いうちに必ず光さんをものにするから。』
と酒が入り少し据わった目で語りだす山田。
…マジだったのかよ。
噂には聞いてたが、侑李にしか興味なくて見てなかったわ。
光が山田と付き合えば、今よりガードも弱くなる。これはいい。
「俺は応援するぞ。」
ym『薮くんいい人。』
なんて見つめる山田…コイツ無駄にキラキラし過ぎ。
yt『でも…問題は薮くんの方じゃない?』
と言う裕翔に顔を向ければ
yt『だってさぁ〜侑李ちゃん初恋でしょ。何かの拍子に憧れが崩れたら一気に覚めちゃうよ。』
と言いグビグビとビールを煽る。
ym『それはあるよね。初恋ッて事は憧れと願望の塊だもん。どこかでヒビが入れば一発で終わる。』
yt『それに薮くん、鬼畜のド変態なんでしょw』
ym『あーそれ光さんも言ってたわw侑李ちゃんにバレたら大変w』
「うるせー。人の恋路に首を突っ込むな!!!」
と言えば
ym『まぁまぁ初恋は淡いものですよ。早くしないと若いイケメンに取られるよ。何せ侑李ちゃんはまだ大学生なんだもん。』
なんて笑う酔っぱらい2人。
……。
…クソッ…でも言い返す言葉がない。
これは己の趣味を押し通している場合ではないのかもしれない。
早くしないと若いイケメンに取られる。
漠然としていた嫌な予感が2人の酔っぱらいにより色濃くなる。
俺は柄にもなく焦りだしていた。
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作者名:一斤染 | 作成日時:2016年11月7日 17時