【WT】A級4バカが一角、頑張る。 (ページ8)

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7.遠征艇にてページ8

『だぁー！暇だ！！』

「うるせえ騒ぐな」

米屋と感動の別れ(？)をしてから遅刻を怒られる前に遠征艇に乗り込んだ。全員に呆れ顔をされたがそんなん知ったこっちゃない。城戸指令と忍田さんから前とは少しだけ違う激励の言葉を頂き、音を立てて開く門(ゲート)の中に入っていった。

それから暫く経って暇を謳歌している私の心の声が冒頭のセリフだ。自分だって暇なハズなのに私の言葉を一蹴する出水。

あ、ちなみに遠征艇にはロビーみたいな部屋しかない。あとはあっち(・・・)の世界で緊急脱出した時用の簡易ベッドが数個あるぐらい。

『暇だからランク戦しよ』

「遠征艇にブースなんてついてねーよ」

『あーそうだった。鬼怒田さ～ん』

あの丸っこいフォルムを思い出しながら控え目に叫ぶ。あんまりデッカイ声を出すとウチの隊長がダウンしちゃうから。ていうかもうダウン寸前だけど。そんな可哀想な隊長の元へ、正確に言えば冬島さんの傍に居る当真くんに向かって歩みを進める。冬島さん多分今喋れないし。

『当真くん。冬島さん大丈夫そ？』

「大丈夫そうに見えるか？」

『ううん全然』

「じゃ、見たまんまだわな」

そう、何を隠そう、我らが隊長は船酔いに対して些か耐性がなさすぎる。しっかりしてくれよ最年長。

「にしても、相変わらず遠征艇は狭ぇよな～」

『始まった……』

私は別に遠征が嫌いな訳じゃない。じゃあ何故遠征を嫌がっていたのか？結論から言うと、船酔いやべー冬島さんと遠征艇が狭い狭いとうるさい当真くんが鬱陶しいからだ。冬島さんはしょうがない。けど当真くんはホントに黙って。

「A先輩。お疲れ様です」

『歌川ホント愛してるマジ良い子』

「ウチの隊員誑かすのやめてくれる？」

『誑かしてねーよ純愛を呟いてんの』

「A先輩、自分のそれが純愛だと思ってるんだ」

『ちょっと風間さーん！？オタクの菊地原くんどんな教育してるんですか！？』

向こうで太刀川さんと話してる風間さんを呼ぶと、一回こちらを向いてからまた太刀川さんと話し出した。菊地原これの影響出てるな。口下手なだけで本当は優しいってことは知っているが、生憎私には風間さんが何を思っているのか察することは出来ない。菊地原も同じ。やっぱ諏訪さんか寺島さんがいないとダメだわ私。

「すいません……。これは菊地原なりの愛情の裏返しですよ」

『あーなるほど』

「は？違うけど。先輩もなんで納得してるの」