6.米屋の独白 ページ7
それからはフツ〜にすくーるらいふを満喫し、ついに遠征の時が来た。
遠征艇に乗り込む為には当然ながらボーダー本部は通るわけで。それがある場所に向かっていると目の前に人影を見つけた。が、ボーダーにいて不思議な奴じゃないのでスルーしようとした。
「よっ、剣バカ」
『それゴロ悪いからやめろって言ってんだろ槍バカ』
「嫌がってるから使いたいんじゃん」
『お前もサディストか』
「も？」
『なんでもない。こっちの話』
三輪といい米屋といい、三輪隊には碌な奴がいない。奈良坂はキノコヘッドのクセしてたけのこ派だし。マジ敵だわ。お前らいい加減古寺と蓮さんに救われてる自覚持てよ？
『で、何か用？言っとくけどランク戦は出来ないよ。これから遠征だから』
「分かってるって。流石にそこまでバカじゃねーわ」
『ダウト』
「やっぱやろうぜ」
『話聞いてた？だから
ただでさえLINEで「何回電話掛けてもスルーとか良い度胸してんなお前。遅いから置いてくわ」と出水に見限られたんだ。時間的にマジでギリギリだから早くして欲しい。どうせ槍バカの話は9割9部どうでもいい話なんだから。
「せっかちだな〜、Aちゃんは」
『じゃあね』
「待て待て」
『は や く し ろ』
いくらなんでもウザすぎてさっさと遠征艇のとこに行こうとするも米屋に腕を掴まれる。早くしろと促すと、左手を後頭部に当てて(私の腕掴んでんのは右手)珍しくまごまごする米屋。少し経って深いため息を吐いてからいつものヘラヘラした雰囲気に戻る。
それに、少し安心した私がいた。米屋がマジメとか控え目に言って気持ち悪い。
「知ってっか？�犢圓辰討蕕辰靴磴き瓩辰董◆毀技�に帰ってきて》って意味なんだと」
『へー、お前から物教わる日が来るとは思ってなかったわ。私もう生きていけない』
「縁起でもねぇこと言うなって。……あー、だからさ、A。……『行ってらっしゃい』」
『！！』
……まさか、米屋からそんな激励の言葉が来るとは。そう思いながらも米屋の手から自分の腕をスルリと抜き、近くの扉まで歩く。そこまで来て振り返る。
どういう訳か、私の口角は自然と上がっていた。
『米屋！……「行ってきます」！』
〖行ってらっしゃい〗の意味を知ってるなら、〖行ってきます〗の意味も知ってるでしょ？
「……死ぬなよ。A」
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作者名：白黒 | 作成日時：2023年11月24日 21時
