東京侵攻、その先に (ページ4)

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４.「天王寺組」ページ4

「何晒しとんのじゃあ！！」

ほぼ放心状態でさっきの室屋さんの言葉に頷き、大阪まで来て立派な門を構えた屋敷に入った

一番奥の部屋に入り、全身にムカデの刺青をした人に室屋さんが事情を説明すると、話を傍で聞いていた白スーツの人が室屋さんを殴り飛ばした

「カタギ巻き込んでんとちゃうぞ室屋ぁ！！」

「落ち着けや戸狩、まずは嬢ちゃんの話聞こうや。…嬢ちゃん、話せるか？」

『…対処出来なかった私が悪いです。無理矢理手当てしたのも私。室屋さんは最初断りました』

「そうかぁ、お疲れさんやったなぁ。今日はゆっくり休んだってや」

言っちゃったらアレだけど、見た目に反して優しいムカデさん…カシラ？って呼ばれてたっけ

その人に呼ばれた金髪のサングラスをかけた人…苅込？さんは私に来いと言って部屋を出た
室屋さんは悪くないですよ、と念を押して私も部屋を出た

「自分関東出身かいな？災難やったな」

『…まあ』

「んな辛気臭くなんなや！お通夜みたいやん！」

『お通夜はこれからですね』

「…すまん」

一瞬デリカシーないなとぶん殴ってやりたくなったが、多分今の私の精神状態を見越して、初対面なのにこんなに話振れる苅込さんを案内役にしたんだろう

『すみません。話乗れなくて』

「いやええんや。辛いよな、身内なくすん」

まるで自分が体験したような言い方だった

それが顔に出ていたのか、苅込さんが言葉を続けた

「普通に生活しとる奴は極道になんかならへん。皆“訳あり”や」

やから1人で抱え込むんやないで。
そう言って頭を撫でられ…いや、ぐしゃぐしゃにされた

初対面で馴れ馴れしいにも程があるが、それが苅込さんの良さなのかな…もしくは関西ではこれが普通？

苅込さんは話上手聞き上手、世渡り上手の代表例といった感じだった

「ここや」

めちゃくちゃ広い屋敷？を数分歩いて辿り着いた一室

客室らしい

「なんかあったら叫べば誰かしらは来んで。ゆっくり休み。ほな」

『ありがとうございます』

部屋を見渡せば1人で使うにはもったいない程広く、ベッド・机・冷蔵庫・風呂・トイレ…etc.全て完備

見知らぬ地でうたた寝出来る程無防備ではないが、今は事が事なので眠すぎて即刻ベッドに転がった
そのまま視界は暗転し、私は落ちた