25.社交辞令。 ページ25
二宮が身構えたのが分かった。
いつも猫背な背中が、物差しを入れられたみたいにピッと伸びてる。
「僕、仕事の都合でもう失礼しなくてはならなくて」
「そうなんですか。櫻井社長、やっぱりお忙しいんですね」
「有難い事なんですけどね」
参ったなとでも言いそうな、少し困ったような笑顔。
「失礼する前に、榊社長にはちゃんとお声を掛けてから...と思いまして」
「そんな、お気を使って頂いて」
「あの...今度、プライベートでお食事でもいかかですか？」
「...え？」
「アハッ、不躾で申し訳ありません」
俯いた松本さんの口元がキュッと上がり、フフッと小さな笑い声。
そんな松本さんに、櫻井社長は「ちょ...笑うなよ」とまるで高校生みたいに返した。
「あ...お食事、そうですね。はい、是非」
「本当ですか？これ、社交辞令じゃないですよ？」
「え？...えー...っと」
どう返事すれば良いのか分からなくて二宮を見ると、薄く微笑んで櫻井社長を見ている。
全然私と目を合わせてくれない。
嘘でしょ。助けてくれない気だ、この人。
「櫻井社長、そろそろお時間です」
私が「あはは」と下手な愛想笑いをしていると、腕時計を見た松本さんが櫻井社長に声を掛けた。
「時間か、残念。それでは、今日はこれで失礼致します」
「...はい」
2人が颯爽と会場を後にする。
その後ろ姿が完全に見えなくなってから、私は恨めしさを込めて二宮を見た。
「...ちょっと二宮...」
「何でしょうか」
「どうして助けてくれないの」
「マジで誘われてるって思ったら面白くて。すみません」
二宮がケラっと笑った。
ついさっきまで『櫻井には気を付けろ』とか言ってたのは誰よ。
「まぁ、あーは言ってたけど社交辞令でしょ」
「やっぱりそう思う？」
「櫻井って面食いそうだし」
「...ちょっと言ってる意味が分かりません」
私達が言い合ってるのを見てたゆう子さんに「仲良いわね」と言われ、ベタに「どこがですか？」と2人の声が揃ってしまい大笑いされた。
「...社交辞令じゃなかったのかよ...」
社長室のソファでタブレットを見てた二宮が呟いたのは、翌日の月曜だった。
「メール来てる、櫻井...ってゆーか松本くんから」
「あー...そっか、名刺に会社のメアドあるもんね」
「食事の候補日、送られて来たよ」
「え？ホント？」と席を立ち二宮の隣に座ってタブレットを見せて貰うと、そこには確かに櫻井社長の都合の良いという日が何日か記されてある。
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米(ヨネ)(プロフ) - ずっと読みたかった『アディクトインダストリー』やっと読める日が来た事に感動(T^T)同じ人のお話を並行して読むには頭が追いつかないようで(笑)他の相葉さん読んでる最中に登場したレイさんの相葉さん。ずっと保温させていただいてました。満を持して！お邪魔します^^ (2019年3月29日 4時) (
レス) id: c17294886d (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - 明けましておめでとうございます。櫻井社長が何か仕掛けてくるのか、こないのか。気になる。３月まで忙しくてリアタイで読めないの(泣)だから変なタイミングでコメントする事をお許し下さい(笑) (2019年1月2日 9時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
rei(プロフ) - みっちゃんさん» 楽しんで頂けててよかったですー(*´ω｀*)cube、私も好きな映画だったのでお話に出したいなぁと思って(*´ω｀*)新章も楽しんで頂けますように☆ (2018年12月30日 12時) (レス) id: 7992a9c5f3 (このIDを非表示/違反報告)
rei(プロフ) - なおさん» 何か、例えばニノちゃんのお話だと物凄く反応を頂けるんですけど今回はあまり楽しんで頂けてる雰囲気を感じられなかったんですよー(^◇^;)でもお声掛けして頂けて良かったです！最後まで頑張ります(*´ω｀*) (2018年12月30日 12時) (レス) id: 7992a9c5f3 (このIDを非表示/違反報告)
rei(プロフ) - こっしーさん» こんにちは！私もこんなワンコが家にいてくれたら、本当になんでも頑張れるしすぐ家に帰りますー(*´ω｀*)続きも楽しんで頂けますように☆ (2018年12月30日 12時) (レス) id: 7992a9c5f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2018年12月5日 0時
