30.疑い深い。 ページ30
帰り際には、松本さんから手土産を頂いた。
ホテル内のブランジェリーの焼き菓子らしく、ずっと食べたいと思ってた私は単純に喜んだけど二宮は案の定ちょっと気に食わなかったらしい。
駐車場で待ってくれていた車に乗り込むやいなや、二宮は「やっぱりアイツ、好きじゃねぇわー」と暴言。
智くんは「ニノがお気に召す人間って居るのかなぁ」と笑ってる。
「Aちゃん、楽しかった？」
「うん、お料理も美味しかったよ」
「櫻井社長、どんな人だった？」
「んー、非の打ち所のない人って感じかなぁ」
車が静かに走り出す。
少しお酒を飲んだから車酔いが不安だったけど、智くんの運転はやっぱり魔法だ。
酔うどころか、ふわふわと心地良い。
「あ...ねぇ二宮」
「何でしょう」
「どうしてあんな事言ったの？」
「あんな事、とは？」
「企画はほとんどが社長発信...だとか」
もちろん私も企画会議に参加はしているけど、うちの企画部には本当に優秀なスタッフが何人も居てとても助けられている。
だから、そう言おうと思っていたのに。
私が全てだなんて、とんでもない。
「優秀な人材が居るなんて言って、彼らが引き抜かれたらどうするんですか」
「...え？」
「商売敵に何もかも話して良いと思ってんの？」
「でも...」
「アイツ、仕事に関係無い話で油断させて結局は榊グループの内情を知りたかったんじゃない？」
楽しく会話をしてた時の櫻井社長は、本当に話しやすい人だと感じた。
こちらを探ってる雰囲気は無かったと思うけど...
それに、彼は『一緒に日本のホテル業界のレベルを高めて行きましょうね』と言っていた。
「二宮、あんまり人を疑わない方が良いと思う」
「社長があまりにも人を疑わないので、僕が必要以上に疑い深いくらいがちょうど良いかと思いまして」
二宮が、ンフッと笑う。
秘書って、みんなこんな感じなのかな。
「松本さんって、どんな人なんだろう...」
「あの人は、仕事のパートナーってよりも王様に仕える側近って雰囲気だな」
「どういう事？」
「王様の為なら自分の命をも差し出しそうな感じ」
「命を...」
「きっと、櫻井には周りの人間にそう思わせてしまう力があるんだろ」
「それは何となく感じた」と、二宮は独り言のように言った。
ぼんやりと外を眺める。
ちょっと思ってたよりも、帰りが遅くなってしまった。
雅紀、まだ起きてるのかな。
帰るよってLINEを送ってみたけど、寝てるのか既読はつかなかった。
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米(ヨネ)(プロフ) - ずっと読みたかった『アディクトインダストリー』やっと読める日が来た事に感動(T^T)同じ人のお話を並行して読むには頭が追いつかないようで(笑)他の相葉さん読んでる最中に登場したレイさんの相葉さん。ずっと保温させていただいてました。満を持して！お邪魔します^^ (2019年3月29日 4時) (
レス) id: c17294886d (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - 明けましておめでとうございます。櫻井社長が何か仕掛けてくるのか、こないのか。気になる。３月まで忙しくてリアタイで読めないの(泣)だから変なタイミングでコメントする事をお許し下さい(笑) (2019年1月2日 9時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
rei(プロフ) - みっちゃんさん» 楽しんで頂けててよかったですー(*´ω｀*)cube、私も好きな映画だったのでお話に出したいなぁと思って(*´ω｀*)新章も楽しんで頂けますように☆ (2018年12月30日 12時) (レス) id: 7992a9c5f3 (このIDを非表示/違反報告)
rei(プロフ) - なおさん» 何か、例えばニノちゃんのお話だと物凄く反応を頂けるんですけど今回はあまり楽しんで頂けてる雰囲気を感じられなかったんですよー(^◇^;)でもお声掛けして頂けて良かったです！最後まで頑張ります(*´ω｀*) (2018年12月30日 12時) (レス) id: 7992a9c5f3 (このIDを非表示/違反報告)
rei(プロフ) - こっしーさん» こんにちは！私もこんなワンコが家にいてくれたら、本当になんでも頑張れるしすぐ家に帰りますー(*´ω｀*)続きも楽しんで頂けますように☆ (2018年12月30日 12時) (レス) id: 7992a9c5f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2018年12月5日 0時
