守られる。 ページ18
私の言葉は、今は必要なさそうだった。
さっきよりも、しっかりめなキスが続いていく。
私はほとんど受け身だけど、翔は全くそうじゃなくて……
でも、それ以上ナニかしようという企みは感じないというか？ただ、キスだけに集中する時間みたいな。
そんな感じで……翔の手はしっかりと私の指に絡まったままだった。
「ん、と……ちょっ……休憩」
「なんで」
「だっ……苦しい」
「まーた息してねーの？」
「そういうことじゃなくて！」
もうさすがに慣れたわ、こんなにチュッチュチュッチュされたらさぁ！
なーんて言い返したいけど……フッて笑う翔の表情が色っぽ過ぎて、困る。
「やっべ。また止まんなくなりそ」
絡めた指に力が入って。やっぱり私、慣れてないかも……なんて思い始める。
こうして真正面から色気たっぷりで来られるの、破壊力ハンパないですからー！
私が課長の事を吹っ切って、じーちゃんと二人晩酌をした夜……いつもなら、毎週のお約束で課長と会っていたはずの夜。
酔っ払いの勢いでこの部屋におしかけて、告白なんてしちゃって。
『中途半端にちょろちょろして、ずっと世話焼かないといけないんだったら……俺が面倒見るから』
呆れながらも、幼少期からの思いごと、きっと全部を受け入れてくれた翔。
翌朝初めて交わしたキスは、もう緊張から何から大変なことになって、まともに息もできなかったっけ。可愛いなぁワタシ！てへっ☆
「……何なの」
「へ？」
「ニヤニヤし過ぎだろ……何の想像してんだよ」
「は！そんな想像してないわっ。美しく輝かしい思い出にただ浸ってただけですぅー」
「ふはっ。そんな、って？どんなだよ」
「うっ？」
まんまと墓穴を掘らされる。って、本当に私そんな想像してなかったんですけど！くっそぅ。
「はーあ。マジで、おまえってバカだよな」
翔はククッて可笑しそうに、私の隣にゴロンと転がった。
「なにをぅっ？」
「さっき陽平と喋ってたんだよ。俺には、この先ずっとそれを守る義務がある」
「……私のおバカさをか」
「そうそう。貴重だぞ、それ。せいぜい大事にしろよ」
「……守る所、間違ってないっすか？」
それには答えが来なかった。
ただ真横から伸びた手が、見事に私の頭にポンとヒットする。
大人しく黙っていたら、続けてポンポンポスポスと叩かれて。
「ますますバカになるわ」って鼻を鳴らして抗議したら、随分と満足そうに、上機嫌に笑われた。
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作者名：みつな
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年5月15日 0時
