実感中。 ページ2
「なんなんだ、あれは」
帰ってくるなり、ご機嫌ワルワルしく翔はそう言うと、ソファでゴロゴロまったり中だった私のデコをペチンと攻撃してきた。
「イッ！タイな！デコなくなるでしょうが！」
「無くなるほど元々持ってねーだろ」
「くぅっ！」
「で、なんなの？意味が通る文章でちゃんと送って来いよなぁ」
デコをさすりながら私が起き上がった時には、もう翔の姿は見えなかった。
声だけ残して、さっさと洗顔からのお着替えってところかね？
だから私は、そのままキッチンで食事を出す準備を始めて……その間に聴こえてくる翔が発する様々な音に耳を傾けてみた。
「ふ、ふふ……」
それは足音だったり、クローゼットを開け閉めする音だったり、ちょっと鼻を啜る音も。
どんなものでも、翔から奏でられていると思うと……そしてそれが、あぁ同じ部屋に居るんだーなんて改めて思う要素になったりして……
ヤバイわこれ。幸せ実感中……。
「んだよその顔」
「ひ！ぃっ」
「はぁ〜？反応が忙しい奴だな……お、うっまそー」
「あ！こらっ」
突然背後からニョキッと私の肩に生えたショウサクライは、そのままニョキッと指を伸ばして摘み食いしやがった。
まともに抗議しきらないうちに、ウマいーとおかしなイントネーションで呟きながらダイニングに着席する。
私はそんな様子にもまたウッキウキ浮かれちゃって、ニヤけ続ける顔を必死に隠しながら、涼しく料理をお出ししてみた。
「サンキューでーす。あー腹減ったわ」
「いただきたまへ」
「いやそれおかしいだろ」
「……お召し上がりになって？♡」
「……いただきます」
まだ何か言いたそうな顔だけど、翔は一応黙って手を合わせる。
……それにしても。
ガツガツ食ってるように見える割には、箸の運びがキレイでなぜか下品じゃないのよね、ショウサクライ。
「で？なんだったの今日のメール」
「へ？」
「へ、じゃねぇ。パンツが何と一緒だって？」
モグモグモグ……
食べることは決してやめないのに、しっかり喋ってきてしかも話題がアナタ！
お食事中にしてもイイのかしらん？と思いながら、私は恐る恐る答えてみた。
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作者名：みつな
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年5月15日 0時
