きみとぼくと【∞／短編集】6

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あれから１年。



ふと気になって、クローゼットをあける。




１年前、寝室にマルが落としていった紙袋。



きれいに包装された包みを開けてみる。




中には綺麗な色をしたマフラーと、小さな封筒。




【裕ちんへ



最近、忙しくてなかなか会われへんでごめんな。


寂しくて辛い夜もあるけど、きっと裕ちんも一緒やって信じてるから頑張れる。



こんな僕やけど、ずっとそばにいてください。



ずっとずっと、大好き！



りゅうより】






ああ、そうか。





りゅうも、寂しかったんや。





会いたくて、会えなくて、辛かったんや。





それでも俺だけを想って、我慢してくれていたんや。






かまってもらえないから浮気するなんて




そんなん、ただの言い訳やった。





逃げたんや、俺は。





もう、戻れない。









あの時、独りよがりにさえならなければ





今も隣で笑えていたのかな。








あの後、りゅうはヒナと付き合い始めた。






俺と付き合っていた時よりも




さらに明るく、優しくなって



落ち着いていることが多くなった。









その様子を見ると、まざまざと真実を突きつけられる。



俺はりゅうのことを、何にも知らない。




なにもわかっていない。





りゅうのことを思えば、



ヒナと一緒の方がきっと幸せだ。








もう、戻れない。








おねがいだ。







しあわせになってくれ。







俺が壊したりゅうのしあわせを





別の誰かで取り戻して欲しい。








俺にはもう祈ることしかできないから。

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