きみとぼくと【∞／短編集】6

君を想う夜【黒×紫】 ページ37

俺と横は、交際を隠している。



お互いに思ったんだ。


今更すぎる、って。



今までお互いこれっぽっちも恋愛感情を抱いてなんかいなかった。


メンバーで、大の親友、戦友。




だからなんでこんなことになっているのかも

俺が男を好きなのかも、分からない。



好きとはいえ、あっさりさっぱりしたいというのが実際のところだった。




珍しく二夜を共にし、久しぶりに自分ちの広いベッドで身を投げ入れる。



大の男2人がきゅうきゅうと身を寄せ合って寝る窮屈さから解放されて、さぞかし快適だろうと思ってた。




それが、こんなに寂しいなんて、思わなかった。




あの暖かさが、鼓動が、触れ合う体が


あんなに愛おしく思えるなんて、今まで知らなかった。




無意識にスマホを手にとって、SNSを開いて、

「横山 侯隆」のトークを開いて、手を止める。



なんて伝えたらいいのか分からなくて。




女々しい自分にため息がでる。



だけど、なんだか嫌やなくて。




横はこういうこと思ってくれへんのかな〜なんて拗ねてみる。





でもまぁ、いいか。






明日もまた横に会える。




俺が楽屋のドアを開けると、どことなく嬉しそうなあいつの顔を見られるから。




毎日が楽しみで仕方ないんだ。




スマホを置き、目を閉じる。







愛してるは、うまく伝わらない。



でもそれは、それで幸せなのかもしれない。

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