きみとぼくと【∞／短編集】6

初めて【黄×緑】 ページ34

俺はいつも、フラれる。




付き合う前まではいい。


一緒にいると楽しいって言ってもらえて


カッコいいと言ってもらえるし。




付き合った直後もいい。


一生一緒にいたいと言ってもらえて


愛してると言い合って幸せに満ち溢れて。




その後からいけない。


女々しい、重たい、ネガティヴって面倒くさがられる。


自分に自信がないから相手の気持ちを信じられなくなって


毎日喧嘩して泣きそうになって


結局、フラれてしまう。



自分だって重いってわかってる。


それでも、どうしようもなくて。




そんな俺を好きになってくれたのは


まさかの大倉だった。




お互い女が大好きで、恋仲になるなんて考えたこともなかったし、


何より彼は縛られることを嫌う。



始まりだって曖昧だった。



俺がまた彼女とうまく行かなくなって

居酒屋で大倉に愚痴っていた時


大倉は光のない目で俺を見つめた。



緑「なぁ、亮ちゃん。俺分からへんねん。」


黄「分からんって何が？」


緑「亮ちゃんへの気持ち。

好きなんかな、こんな感じ初めてで分からへんねん。」


黄「なんやそれ…」


その日から意識しはじめて


バレンタインに2人で料理作って以来

頻繁に会うようになって


ホワイトデーに正式に付き合った。



大倉は元々可愛らしい女の子がタイプで


束縛されるとうんざりしてしまうらしい。



どうして俺なんかを…



こんなこと初めてで、どうしたらいいか分からない。


それでも話を聞いてくれて、優しい大倉に惹かれていった。


付き合って数週間で俺はメロメロになった。



でも重くなりたくなくて


黄「こっちの方がお似合いやない？」と
女子や他のメンバーの名前を挙げては


悲しくなって逃げて


余計重くなって


ため息つかれて


とうとう本人の前で涙をこぼしてしまった。


いたたまれなくて彼に背を向けて嗚咽を殺した。





その時、大好きな温もりが俺を包む。



緑「亮？

俺がなんも知らんと亮と付き合ったって思ってるん？


亮がヤキモチ妬きなのも、俺のこと考えて行動することも、不安に思ってることも


全部知っててここにいるんやで？


大丈夫やから。」



泣きやもうと躍起になってようやく落ち着いてきたと思った矢先、



今度は嬉しくて泣いてしまったのだった。




「大好き」や「愛してる」を


こんなに大切にしたいって思ったのは初めてだ。



ずっとなんて望まないから

明日、一緒でありますように。

またいつかどこかで【黒×紫】→←世界一【青×黄】

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