きみとぼくと【∞／短編集】6

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リビングに通じるドアを開けると、


いきなり俺の腹に向かって何かが突進してきた。



緑「っぐっ…」



イノシシ？！なんで？！



驚いて反射的に強く抱きしめてそれの動きを封じようとした。



ふわっと香る


嗅ぎ慣れたあの人の匂い。



緑「え…？なんで…？」



さよならしてきたやん。


追いかけてこなかったやん。



これは、夢？


イノシシに突進されて、意識飛ばしてる最中なん？




黄「忠義…なんで、なんで急に居なくなんの？


なんでさよならって言ってん？なぁ、」



本物の亮ちゃんが、そんなことを言うわけないか。



夢だから、安心して本音を言うよ。



緑「俺の気持ちが、重くなりそうやったから。


亮ちゃんにもっと甘えたい、構って欲しい


たまには付き合いたての頃みたいに甘やかして欲しい。



でも２年も経って、亮ちゃんはそういうの望んでなかったと思うし


マンネリ気味で俺に飽きてたと思う。



どうせいつか別れてしまうなら、今がいいなって思ってん。」



黄「そんな、


忠義は、俺のこと嫌いになったん…？」



緑「全然。むしろ逆。


大好きや。愛してる、誰よりも。



だからこそ、辛くなった。」



黄「…いやや、別れたない。


忠義と別れるなんて考えられない。


考えたくもない…



忠義、いやや、俺を好きなら別れないで。



素直になれない俺を、見捨てないで…」



大粒の涙を零しながらキスをしてくれる。




その唇が温かくて、涙で湿っていて


俺は突然現実に引き戻された。



緑「亮…ちゃん？なんで？」


俺の腕の中にいるのは、間違いなく亮ちゃんやった。


黄「忠義の言葉がすぐに理解できなくて、固まってしもて…

そっから慌ててタクシーで忠義んちまできてん。


居なかったから、怖かった。」


緑「俺なんか追いかけなくてよかったのに、」


黄「別れなくなかったから…」


緑「なんでよ。」


黄「忠義を、


……愛してるから。」


緑「…ほんまに言うてる？それ」


黄「嘘やと思う？」


緑「分からへん。でも嘘でないことを祈る。」


俺は亮を抱きしめた。



先ほどよりも、もっともっと強く。


緑「なぁ亮、愛してるって言うて」


黄「愛してる」


緑「もっと」


黄「愛してるで、忠義」


緑「俺も…」


よかった。


気持ち、一緒やった。


黄「やから別れないで、離れないで。」


緑「ん、ごめんな。」






もっと貴方の愛してるを聞かせて。


俺の全てで受け止めるから。

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