きみとぼくと【∞／短編集】6

愛というもの【紫×黄】 ページ30

俺の恋人。



確かにかっこいい、けどタイプじゃなかった。




それなのに、惹かれた。





話をすればするほど、似ていて、でも違うところもある。



だから話は尽きないし、楽しい。







彼は時々優しすぎる。


口癖はいつも、「ごめん」と「ありがとう」。


どんなに小さなことにも感謝して、謝る。






俺の好きなこと、嫌いなことに敏感で



我慢して、1人で不安になって苦しんでることを



必死に隠し通そうとしてるのが



顔を見ればバレバレで。






俺の小さな冗談にもすぐ騙されて


驚いたり、喜んだり、悲しんだりする。





ふざけて意地悪を言ったら



とっても悲しそうに、切なそうに笑うから



慌てて冗談だと釈明しても



どこか泣きそうな顔をして、でも笑うんだ。





冗談が通じない。



なかなか信頼してもらえない。



めんどくさい。




そう思うことだって、そりゃあある。





だけど



些細なことで悲しむ分



君は些細なことで幸せそうな顔をするから




手を繋いだり



腕枕をしたり



抱きしめたり




たったそれだけで幸せそうに笑うから




俺は君を幸せにしたくて



また甘やかしてしまう。






ふと目がさめると



目を開けて変な顔で寝ていたり



愛おしいそうに頭を撫でてくれる君がいて




その度にむず痒い気持ちになって



どこか苦しくて、切なくて、甘ったるい。








縛られるのが嫌いな俺が



それでも君にそばにいたいと望んだのは




それはきっと、君だから。








今日もまた、君の笑顔を見せて欲しい。




取り留めのない話をして、もっと君のことを知りたい。




その手で、指で、触れて欲しい。



そのサラサラな髪をくしゃくしゃにしたい。







なにも不安になることなく



たくさん笑って



時々泣いて



美味しそうにご飯を食べて



俺の隣で眠って



前を向いていて欲しい。




その為になら、俺は頑張れるから。







なかなか迎え入れてはもらえない恋だけど



でもそれでも、俺は君を愛すから。





俺は今日も、君の隣に。

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