きみとぼくと【∞／短編集】6

独りよがりの気分変調【赤×黄】 ページ24

黄「なぁ、すばるくん。」


赤「んー？」



黄「…いや、なんでもない。ごめんな。


プリン食べる？」




“俺のこと、好き？”


“俺のどこが好き？”



なんて、聞けるわけない。



“めんどくさい”


“重たい”



って思われたら嫌だから。




付き合った直後、すばるくんから言われた言葉が聞こえてくる。



赤「俺、追われると逃げてしまいたくなるねん。



やから俺が追いかけたいねん。」



こうも言われた。



赤「好きとか、ずっと一緒にいたいとか、

そういうプレッシャーかける言葉好きじゃないねんな。


俺が言う分には構わへんのやけど…」



黄「好きって言われるのプレッシャーなん？」



赤「んー…、そういうの言われると、


俺ずっと好きでいられるのかなーとか考えてまうねん。



考えてしもたら疲れるやろ？」






ハッと現実に戻ると、


なんとも読み取れない表情をしたすばるくんが


俺の顔をじっと見つめている。




黄「あ…ごめんごめん、


プリン持ってくるな！」




慌てて動こうとすると、


なぜか腕を引っ張られて彼の上に倒れこんでしまった。



黄「わ！ごめんな、重いやろ？！」



体を起こそうとすると



そのまますばるくんの腕が俺の体を抱きしめた。



優しく横に倒されて、腕枕された。





なんのこっちゃわからずに混乱していると



すばるくんが優しい顔で俺を見つめ、頭を撫でてくれる。




赤「前にいうたやろ？


思ってることあるならちゃんと言えって。」



黄「いや、でも、重くなってまうやろ？」



赤「お前ばっかり我慢してたら辛いやろ。


嫌やったらそう言うからとりあえず言うてみ？」



黄「ええの？」



赤「前から言うてるやん。


そういうことしてたら疲れてまうって。」



黄「ならしばらくこうしてて？」



赤「ええよ。」



頰っぺたにキスをして首筋に顔を埋めれば



大好きな人の匂い。温もり。




いつもそう。


悲しい言葉も、嬉しい言葉も


どっちも大切に聞いているつもりなのに



マイナスな事ばかり覚えていてしまう。




恋愛に関してはちょっとネガティヴな、俺の悪い癖。




それを分かっていて


俺の表情だけでそれを読み取って


こうやって安心をくれるすばるくんはやっぱりスゴイし




俺のこと、好きでいてくれてるんやと思う。




幸せな独りよがりを終えて、俺は眠りについた。

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