きみとぼくと【∞／短編集】6

言の葉【黒×紫】 ページ23

嫉妬や不安は




もう今更、口に出してはいけないような気がして




長年いるからこそ生まれるマイナスの感情も




言ってしまったらきっと、面倒に思われる気がして




とても幸せで、安心できる今この関係を




時々、めちゃくちゃにしてしまいたくなる。






自分の感情の矛盾に頭を抱えていた時




スマホが震えて、家に来てもいいかと聞かれた。




こんなことはいつぶりだろう。



前だったら2人になれることで心を弾ませていたのに


今は別れ話がチラついて不安が胸をよぎる。




嬉しいのになんだか悲しくて




ヒナの目の前に立った時、涙が溢れた。




やってもうた、



でも、もう逃げたくない。



そう思って勇気を出して顔を上げる。






ヒナも、泣いていた。








無意識に彼を抱き寄せた。




鼓動を重ねて初めて気づいたんだ。



ヒナも、きっと同じことで悩んで、苦しんで



それでも俺に会いに来てくれた。




こんなかけがえのない人と別れようなんて



なんてことを考えていたんだろう、って。





どんなにお互いを信頼しても



どんなに長い時間を過ごしていても




言葉で繋がることはとても大切なことなんだ。





お互い素直になるのは得意じゃないし



口下手だけど、でも




泣き止んだらたくさん話そう。







今までのこと、これからのこと





言の葉で繋いでいこう。





俺らの前には、真っ直ぐな道が続いているはずだから。

独りよがりの気分変調【赤×黄】→←1ページ【紫×橙】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す