きみとぼくと【∞／短編集】6

分かってた【青×緑】 ページ21

俺は安田章大。


優しさの塊ってよく言われる。




長年のアピールが叶って、大倉と付き合うことになった。




俺はもう、本当に嬉しくて

自分のそばから離れて欲しくなくて



付き合ってからも、俺は大倉に優しくした。




大倉はいつも困ったように笑って



緑「そんな優しくせんといてよ。ダメになるやん。」



俺の頭をポンポンと撫でてくれた。




そんな時間が嬉しくて、楽しくて、幸せ。





楽屋には手を繋いで入るようになって



常に隣に座って、笑いあって



俺は幸せだった。






ある夜、大倉が急にうちに来た。


大事な話がある、と言って。




それは俺にも好都合だった。



ちょうど半年記念に、ネックレスを用意していたから。




部屋に入ってきた大倉の顔は、強張っていて


すごく緊張しているようにみえた。



青「どうしたん？そんなにガチガチで、笑


まぁ座りや？」


緑「なぁ、章ちゃん。」



青「んー？」



緑「あの、別れてほしい。



俺、ほんまに好きな人できてもうてん…」




分かっていた。



彼の目はいつしか、亮を追いかけていた。



だから、取られたくなくて、常に隣にいた。



そして



いつかこんな日が来ることも。



緑「…ごめん、ほんまにごめ…」


青「大倉。」



顔を見ずに明るく大倉の声を遮る。



青「俺が悪いんや。


優しくしすぎてん。大倉をダメにしてもうた。」



緑「章ちゃん、それは違う…」



青「もう章ちゃんって呼ばんといて。



早く亮のとこ行けや。」



緑「なんでそれを…」


青「早よ行けや！盗られんで！」



一瞬間があった後、バタバタという足音が聞こえて、消えた。



上手くできたかな。


声だけはちゃんと強気でいられてたかな。



分かってた。


亮はずっと、大倉のことが好きだった。



好きになった順番なんて関係ない。


ほんまに好きな人同士が一緒にいるべきなんや。




…横ちょにそう言ったら、怒られてまうかな。



お前は優しすぎんねん、って。




さよなら、楽しかったよ、俺の大好きな人。




綺麗な包装を解いてネックレスをそっと手に取る。





俺の恋とともに、窓から投げ捨てた。

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