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「矢島さん・・・」
さとみに抱きしめられたまま子供みたいに泣いていると後ろから声をかけられた。
振り返ると委員長と金井くんが心配そうな顔で立っている。
私は思わずさとみの腕を抜け出して委員長のそばに駆け寄った。
「矢島さん、ごめんね」
委員長は私を抱きとめて優しく背中を撫でてくれた。
話を聞いていたのか謝罪をした委員長。きっと無理矢理コンテストに出させてしまったと思ってるんだ。
違うよって言いたいけど、今は涙のせいでうまく返事ができない。
隣りにいた金井くんはゆっくりとさとみの方に歩み寄った。
「今から投票で1時間空くから、休もうぜ」
「そうね、矢島さんも着替えて飲み物でも飲みながら休もう」
委員長が優しく囁いた。私はゆっくり頷く。
委員長に背中をさすられながら私は控室に戻った。
控室には既に誰もいない。1時間の投票時間は私達にとっては休憩時間だ。他の人はお店などを回りに行ったのだろう。
私が着替え終えるとちょうどどこかに行っていた委員長が帰ってきた。
「あ、ナイスタイミング!見て、美味しそうなスムージーやってるとこあったから買ってきたの。矢島さんどっちがいい?」
そう言って委員長は2つのカップを見せた。
「こっちがリンゴで、こっちがイチゴ」
「・・・イチゴ」
「はい」
「ありがとう」
委員長に差し出されたカップを受け取る。
「休憩だし、ゆっくり座って話そうよ」
委員長はそう言って微笑むと近くの適当な椅子をたぐり寄せて座った。
私もヘアメイクのときに座っていた椅子に腰掛ける。
「ん〜、このスムージー美味しい!」
委員長の言葉に私もストローに口をつけた。
「・・・美味しい」
「よね!買って正解」
また優しく笑う委員長とイチゴの甘酸っぱさに目頭が熱くなる。
「矢島さん、私、無理言ってごめんね」
「ちが、違うの・・・」
「ううん、カップルコンテストのお願いしてから矢島さんたちが少しギクシャクしたの私知ってた。でも、二人になんて声かけたらいいか分からなくて・・・」
私たち委員長にも心配かけてたんだ・・・
「私が代わってあげられたら良かったんだけどね・・・」
「彼氏いるの?」
「他校にね」
そう言って委員長は少し寂しそうに笑った。
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まるたちばな(プロフ) - アカリさん» バレバレですね笑 (2021年6月10日 1時) (レス) id: de1186ee03 (このIDを非表示/違反報告)
まるたちばな(プロフ) - ふさん» 頭はいいので、わざと外してます笑 (2021年6月10日 1時) (レス) id: de1186ee03 (このIDを非表示/違反報告)
アカリ - あ、さとみくん絶対狙ってやってるな…? (2021年6月9日 16時) (レス) id: a59834cb62 (このIDを非表示/違反報告)
ふ - さとみくん逆に低いとこいくなんてすげぇww (2021年6月8日 23時) (レス) id: 31f90d92ba (このIDを非表示/違反報告)
まるたちばな(プロフ) - さのさん» チリソースと悩みました笑 (2021年6月7日 0時) (レス) id: de1186ee03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まるたちばな | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/marutatiba1/
作成日時:2021年5月29日 7時