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「お前が好きだって言う度に、嫌いだって言われたときの反動が怖い。今までは来る者拒まず、去る者追わずだったからどうしたらいいかわかんないんだよ。俺はお前にだけはどっか行かれたら困る」
さとみは押さえ付けていた手を緩めてから私をそっと抱きしめた。
「いくな」とでも言うような力強さなのにどこか弱々しく感じる。
私、自分のことばっかりだった・・・
さとみは何でもできて、悩みなんてなくて、彼女なのにさとみが何考えてるかほとんどわかんなくて・・・
それが当たり前だと思って、仕方ないって、疑おうとしなかった。
「・・・ごめんね」
私は今日何度目かの謝罪を涙と共にこぼした。
さとみの背中に腕を回して、ギュッとセーターを握りしめる。
さとみも不安だったはずだ。
私の悩みをきっと全て分かっていたわけじゃないから。
手を二回も振り払われて怖かっただろう。
黙って寄り添っててほしいなんていうのは所詮は私のエゴ。
さとみからしたら私が何を考えているのかきちんと口に出して教えてほしかったのかもしれない。
私、本当に情けない・・・どうしようもないよ・・・
「日葵」
さとみに名前を呼ばれ、涙でグチャグチャの顔を上げる。
さとみは私の頬の涙を優しく拭うとその手をズボンのポケットに入れた。
「これやる」
そう言って無愛想な声で差し出されたさとみの手を覗き込むとチョコレートがいくつか握られていた。
それは私の大好きなチョコで、昔から泣いたり落ち込んだりする私を慰めようとさとみがくれたものだった。
私はさとみの手から一つチョコをとり、包みを開けて口に入れる。
「・・・溶けてる」
夏頃に彼女役をはじめたとき、一度同じチョコをくれたことがあった。
あの時もズボンのポケットに入れてて溶けてたな・・・
私、泣いてた・・・
さとみは昔から変わんないや。
「ありがとう」
私はまた泣きそうなのを誤魔化すようにさとみに抱きついた。
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まるたちばな(プロフ) - アカリさん» バレバレですね笑 (2021年6月10日 1時) (レス) id: de1186ee03 (このIDを非表示/違反報告)
まるたちばな(プロフ) - ふさん» 頭はいいので、わざと外してます笑 (2021年6月10日 1時) (レス) id: de1186ee03 (このIDを非表示/違反報告)
アカリ - あ、さとみくん絶対狙ってやってるな…? (2021年6月9日 16時) (レス) id: a59834cb62 (このIDを非表示/違反報告)
ふ - さとみくん逆に低いとこいくなんてすげぇww (2021年6月8日 23時) (レス) id: 31f90d92ba (このIDを非表示/違反報告)
まるたちばな(プロフ) - さのさん» チリソースと悩みました笑 (2021年6月7日 0時) (レス) id: de1186ee03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まるたちばな | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/marutatiba1/
作成日時:2021年5月29日 7時