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まさかこんな所で遭遇するなんて思わなかった。
4日も一緒にお昼を食べたのに、今さら変に気になって千切りキャベツをチマチマ口に入れる。
「真菜、気分悪い?」
急に顔色を変えた私に明ちゃんが首を傾げた。
「だ、大丈夫。えと、あ!生野菜を先に食べるとダイエット効果があるとかないとか・・・」
「そうなの?って、私、生野菜ないからな・・・」
そう言って少し残念そうに自分の頼んだラーメンを見つめている明ちゃん。
「大丈夫だよ。明ちゃん運動してるし、十分細いよ」
「それは真菜の方でしょ。しかも、真菜は運動してないし。どう?うちの部はいらない?」
「いや、遠慮しておくね。私、走るの苦手だし・・・」
明ちゃんは陸上部に入っている。
私はと言うと園芸部というこれまた地味な部活。
でも、うちの学校はそれなりに大きな温室庭園があってその中では一年中いろんな花が咲いている。
ときどきカップルが備え付けられたベンチでイチャイチャしているから少しきまずい。
部員に変な人もいないというか、そもそも先輩が卒業して人がほとんどいない。幽霊部員がいるのかいないのかといった感じだ。
「土いじりとか大変そうだし、私多分途中で寝る」
「さすがに外では寝ないと思うよ?」
明ちゃんのオーバーな言葉に笑いをこぼす。
「あっ、そういえばさ、今年から用務員のおじさんが変わったらしいね」
「そうなの。もうかなりお歳だったから、新しい人が来るって。今日挨拶の日なんだ」
園芸部は用務員の人と作業をすることが多い。園芸部にとっての用務員さんは運動部で言うコーチや監督のような人なのだ。
「私さ、他の子から聞いたんだけど、めっちゃ若い人来たらしいよ!」
「そうなの?」
「細身のイケメンだって〜!真菜やったね!!」
そう言って私より喜ぶ明ちゃん。私といえば今までのほっこりとした笑みを浮かべた優しい用務員さんのイメージから抜け出せず、ピンと来ていない。
「ほとんど1人で真菜が園芸部がんばってるから、神様からのご褒美だね〜。アタックしちゃう?」
「えっ!?え!あた、し、しないよ!」
「わかんないじゃん。意外と惚れちゃうかもよ」
「もう、明ちゃんやめて!!」
恥ずかしさで真っ赤になる私に彼女はニヤニヤと笑っている。
そんな彼女に気を取られて、隣の席の彼の視線なんて気づかなかった。
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まるたちばな(プロフ) - らるこさん» そうですね。明ちゃんにとっても主人公は大切なお友達であるので、守ってあげたいんですね。これからも何回かモヤモヤ出てくると思いますが、よろしくお願いします笑視線についてはすぐ明らかになります (2021年1月31日 12時) (レス) id: de1186ee03 (このIDを非表示/違反報告)
らるこ(プロフ) - 主人公の友達、相手を思っての行動なんでしょうけど、これまでの桃くんと主人公のやり取りを知ってる上で見るとモヤモヤしますね……。視線のことも引っかかりますね。ううん、続きが気になる! (2021年1月31日 0時) (レス) id: bfd6a96e81 (このIDを非表示/違反報告)
緋彩(プロフ) - まるたちばなさん» 推しの幸せはファンの幸せでもありますからね。悲しませたくないな... (2021年1月30日 9時) (レス) id: d35532515e (このIDを非表示/違反報告)
まるたちばな(プロフ) - 緋彩さん» いつかそういう日が来たら楽しそうですね。彼らが活動だけでも楽しいならそれはそれで嬉しいですし、幸せでいてくれたらファンとして最高です^^* (2021年1月30日 0時) (レス) id: de1186ee03 (このIDを非表示/違反報告)
緋彩(プロフ) - まるたちばなさん» 照れながら話してるの見てみたいですよね!コメ欄が「可愛い!」で埋め尽されるのが目に見えますwww (2021年1月29日 9時) (レス) id: d35532515e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まるたちばな | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/marutatiba1/
作成日時:2021年1月9日 12時