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「…みんな、驚いてたなあ…」
あんなに幼かった後輩達が、もう先輩になっていて、
可愛かった顔がすっかり大人の男性の顔になっちゃってて。
私も少し、驚いてしまった。
2年であんなに変わってしまうんだ。
あと2年もしたら、もう手の届かない存在になってしまうのではないだろうか。
「先輩」などと言われることもなく、
ただの他人となり、いつの日か私が彼らの背中を見るだけになってしまうのではないだろうか。
「…やだ、なあ。可愛い後輩なのに」
もっと進化してほしい。もう成長しないでほしい。
矛盾してるけど、こんなどうしようもない願望が私を苦しめる。
「っ…」
目頭が熱くなって、視界が歪んでいく。
こんな寂しさなんかで泣いちゃうなんて、かっこつかないなあ。
「も、う…」
「___先輩」
「…っ、わか、とし…!?」
声がし後ろに振り返ると、そこには若利が立っていた。
どうしたの、と聞く前に目の前の若利が口を開いて私に問うた。
「…なんで、泣いているんですか」
「あ…やっ、その、なんでもないよ…っ」
あははと笑いながら目元をごしごしこする。
しかし、その手は彼の手に掴まれて動きを制されてしまった。
「目元をこすると駄目だと、瀬見が言っていた」
「…あはっ、うん、そうだね」
背が高くて、体格が良くて、かっこいい。
そんな彼が私の手を握っていて、私の後輩であることが信じられない。
こんなに良い後輩をもって、私は本当に幸せなんだなあ。
ふと、若利の私の手を握る力が強くなった気がした。
「?…若利?どうし…」
「婚約など、しないでくれ」
それは、切なげに。
彼の大きく逞しい身体からは想像できないほど、小さく震えた声で。
顔を上げ合った彼の目は、少し揺れていた。
「婚約してほしくない。俺は嫌だ、貴女が誰かのものになるのが」
「わかとし、あの、」
「俺は、貴女を俺のものにしたいと、望んでいるのに」
私の左手の指輪を触り、眉を下げる若利。
私は彼のそんな表情を、はじめて見た。
「若利…えっと、少し落ち着いて…―――」
「__俺は、」
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バレー12 - こんなストーリー憧れますよね。いいなぁ〜 これを書いていただきありがとうございます。 (2019年6月18日 22時) (レス) id: f0ddf32848 (このIDを非表示/違反報告)
明花(プロフ) - そらりるさん» 有難いお言葉…!そのようなことを言ってくださいそらりる様が私はいっぱいちゅきです…(ノる) イケメンな若様が書けていたのなら幸いであります。こちらこそ目を通していただいたうえにお褒めのお言葉まで、本当にありがとうございます!! (2018年8月14日 12時) (レス) id: 4be523f4d8 (このIDを非表示/違反報告)
明花(プロフ) - おと〜ふ。さん» ありがとうございます!牛島さんは初挑戦で不安しかなかったのですが、そう言っていただけて安心しました。次もそう言っていただけるような作品が創れるよう精進いたします!本当にありがとうございます!! (2018年8月14日 12時) (レス) id: 4be523f4d8 (このIDを非表示/違反報告)
そらりる(プロフ) - あっ、、、いっぱいちゅき((ハート← 牛若イケメンすぎですぅぅぅぅぅぅ!!素敵な作品ありがとうございます!! (2018年8月13日 22時) (レス) id: 2790e098bb (このIDを非表示/違反報告)
おと〜ふ。(プロフ) - 告白のところで発狂しちゃいました...!もう牛若のかっこよさが最高でした!!めちゃくちゃ面白かったです(*´ш`*) (2018年8月13日 21時) (レス) id: f4bc1fabd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めーか | 作成日時:2018年8月13日 20時