トイレに行きたいなら「はい」と言え。【国見英】

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『…なんなの、…あぁもう！』





むしゃくしゃして屋上に来たのはいいものの、


何もすることができない。




私が何にイラついているのかすら、わからない。





『…なんで、こんなにイラつくの…！』




もういい。



このむしゃくしゃ、全部あいつのせいにしてやる。








『英の……馬鹿野郎ーーー！！！！』






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「へぇ、馬鹿野郎…ねぇ」








背後から突如低い声が聞こえ、


ヒュッと喉が鳴ったのが自分でもわかった。





なんで、私の命が危険にさらされる時はこうも2人きりなのだろうか。


あれか、神様が悪魔なのかそうなのか。




はは、と乾いた笑いをしてから、ス…と後ろを振り返る。



すると、案の定そこには素晴らしいほどの笑顔の英がいた。






「ねぇ聞いてる？」

『はいッ！？いやてか！！あの後どっか行ってたじゃん何いつからここに！？』

「あの後ずっとここにいたけど」

『嘘だろ』





まじかよ気配とか全然しなかったよなんなの怖いよお前。





「…彼氏に『馬鹿野郎』とは良い度胸じゃん」

『いやあのそのですねこれはあの……』

「……何？」





私がアタフタしていると、それを面白そうに口端を上げて見る英。


どうしよう、これは絶対になんか言わないといけないやつだ。





『え、えーと…』

「ん、何？」






『あ、愛情の裏返し！だよ！？』






私はその時、本当に焦ってたの。


だから自分の言った言葉の意味も理解していなくて。





だから、英が






「……それ、意味わかって言ってる？」






まるで獣のような表情をしても



私はまだ、自分の身の危険に気付けないのだった。





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