どんどんいなくなる ページ3
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「…落ち着いた？」
「うん、ごめん……」
「いいよ。俺も久々にお前ぎゅってできて満足だし」
「……バカじゃないの」
彼女の体を離すと同時に腹にパンチがとんできて「ぐへッ」と大袈裟に痛がる。
こんな俺を見て彼女はまた「バカじゃないの」と小さく、優しく笑う。
彼女は、なんでもできそうだ。
自分を高めることも、誰かの心を温かくさせることも。
「…そういや、Aってさ、その…作者歴ってどんくらいだったっけ？」
「もう6年かな」
「…長いな」
6年の間で、彼女はどれだけの創作をしてきたのだろう。
その6年間の努力で、どれだけの人間の心を動かせたのだろう。
その努力は、どれだけの形となって報われた？
「…6年だったら、色んなことあっただろうな」
「うん、そうだね。……どんどん、いなくなっちゃった」
「？…いなくなるって？」
「…一緒に創作してきた、友達とか、…一方的かもしれないけど、仲間と思ってた人達が」
「……」
チラリと、彼女の目を見た。
ゆらりゆらり、揺れている気がしたけど、でも、どこか遠くを見ている気がした。
真っ直ぐに、強い眼差しで。
ネット上の関係って、まあ、そんなもん。
繋がりを消そうと思えばすぐに消せる。
正体を隠そうと思えばすぐに隠せる。
誰かに悪口を言おうとすれば、身元がバレずに悪口が言える。
アホみたいだけど、ネットってそんなこと安易にできるから厄介。
人間のどうしようもなくみっともない、醜い思いがぐわりと溢れ出す。
だから、ネットって怖い。
彼女も６年の間に、嫌なことが起きたのかもしれない。
そう思うと、俺の心も酷く痛んだ。
「私ね、友達がいたの。このサイト内でだけどね」
「…おう」
「でもね、いきなり連絡がつかなくなって…やっと連絡ついたと思ったら、「私もうこのサイト退会する」って」
「……おう」
「…簡単だよね、本当。私、その子ともっともっと…も、っと……話して、いたかった、のに」
Aは、学校の中では友達が数人しかいない。あまり明るい性格ではなく周りから見ると大人すぎるため、距離を置かれているんだ。
だからその分、ネットでできた友達を大事にしていたのだろう。
文字だけだと人は、仲良くなりやすいものだから。
「…いつかまた、話せたらいいなって、そう思う」
「話せるよ。お前がずっと忘れずにいれば」
なんか俺くさいこと言った？と言った後で焦ったけど、
彼女が「…ありがと」とはにかんだから、まあ良しとしよう。
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明花(プロフ) - 雨宮咲那さん» この作品にも目を通していただけて嬉しいです。共感できるところがあったのなら幸いです。勿体ないお言葉までありがとうございます。次回作も全力で頑張りたいと思います、本当にありがとうございます。 (2018年7月17日 18時) (
レス) id: 4be523f4d8 (このIDを非表示/違反報告)
明花(プロフ) - #まどかさん» お褒めの言葉ありがとうございます。そう言っていただけて恐縮です、期待に応えられるよう精一杯頑張りたいと思います。本当にありがとうございます。 (2018年7月17日 18時) (レス) id: 4be523f4d8 (このIDを非表示/違反報告)
雨宮咲那(プロフ) - 今作も読ませて頂きました。夢主が作者の視点というのが私自身初めて読んだので少し不思議な雰囲気だと思って読み進めていたら、共感できるところも増え、さすが明花様だなと思いました。これからも明花様の素晴らしい作品読ませて下さい (2018年7月17日 7時) (レス) id: ef0ba5aad5 (このIDを非表示/違反報告)
#まどか(プロフ) - こんばんは！いつも読ませて頂いてます！明花さんの作品はいつも面白くて切なくて感動して…。すごいなぁといつも思います！これからも応援してます！頑張ってください！(^ ^) (2018年7月16日 23時) (レス) id: 3fa50f0937 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：明花
| 作成日時：2018年7月16日 21時
