【HQ!!】恋人とはなんですか【赤葦京治】

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『恋人とは何か』


きっとこれに、正解はない。
誰かの答えを誰かが否定したり、その誰かが思う答えをまた他の誰かが否定する。

答えが一つでないものとは、なんて複雑で面倒なのか。



私が思う恋人とは、
『本物でも偽物でも、両想いでも片想いでも、どちらかが必死に相手を想う関係』。


…目の前の彼が思う恋人とは、



「ねえ、先輩。俺と恋人になりませんか？」

「――…俺は貴女のことが好きです。俺なしじゃ生きれないってくらい、好きにさせてみせますよ」



＿『相手に逃げられる前に手に入れるための、【恋人】という言葉で偽った小さな罠』、というところだろうか。



……馬鹿ね。

私は、貴方のこと、


とっくの昔から好きなのに。



「……私の自論が正しいって証明させるために恋人になってあげる」
「私のこと、オトしてみれば？」


なんて、先輩ぶって、大人な女ぶって。
…胸の内は、嬉しさと緊張で心臓が爆破しそうなのに。



「……俺の自論が正しいですよ」
「これから覚悟しなよ。……俺、そこまで大人しくできる偉い子じゃないから」




恋人って。

まあ、結局はさ。



誰かの『好き』という気持ちからできた、二人を繋ぐ一本の糸みたいなものなのかな。

好きが募るほど、その糸は頑丈になっていく。
好きが薄まるほど、その糸はもろくなっていく。

いつ千切れるかわからない。でも、大事で愛しい関係(イト)。





「……好きだよ、ばーか」
「…知ってますよ。…大事な恋人のことなんて、何でもお見通しです」



私の恋人。
私を離さないで、私に微笑みかけて。

私と、ずっと一緒にいようよ。



ねえ、ねえ。

恋人って、



「…大好き」
「……俺も」



こんなに、あたたかいものだったんだね。


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体育館の隅。彼が広げた自らのジャージの裾に隠れて、

私達は誰にも気づかれないように、唇を合わせた。



大好きです、愛しい恋人よ。


end.

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