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『…嫌だった？』
「そう思うの？」
『うーん…』
後ろから私を抱き締めて離さないテヒョン。
キスが嫌だったならこうやって私を抱き締めるとは思えない。
『ごめんね。』
「なんで謝るの」
『なんとなく』
「じゃあ謝んないで」
『…これからも友達で居てくれる？』
「…。」
『お願い。』
「やだ。」
『…。』
「ずるい。」
「好きなのに…」
『え？』
驚いて顔を上げたら、私の頭がテヒョンの顎にぶつかった。
「あいご…」
『ごめん、びっくりして、』
振り向こうとしたのに、テヒョンの腕がしっかりと絡んで身動きが取れない。
テヒョンが今どんな表情なのか見たいのに。
「アマリリス、綺麗でしょ」
『うん。』
「花言葉知ってる？」
『知らない。』
「輝くばかりの美しさ、っていうんだよ」
『確かに。綺麗だもん、目立つよね』
「うん」
「…Aみたいだって思ったんだ、」
『私？笑』
「気が気じゃなくて」
『うん』
「俺のものになればいいのにって」
『うん』
「ずっと思ってた…」
『…』
照れているのか、腕の力がより一層強くなるテヒョン。
窮屈な腕の中で、止まらない心臓の音がうるさい。
「アマリリスじゃダメだった」
『どういう事？』
「Aみたいだから、代わりになるかなって思って買ったんだけど」
『うん』
「余計に恋しくなっただけだった、」
『そっか』
「俺の事嫌い？」
『そこでそれ聞くの？』
「うん。」
『…。』
『テヒョン』
「なに？」
『キスしていい？』
「…ダメ。」
『聞こえない』
風に吹かれ、アマリリスはまたお互いを見つめる。
その風景を羨ましいと思うことは、もう無さそうだなんて思った。
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作者名：zawa | 作成日時：2022年4月28日 19時
