月がのぼる頃 (ページ3)

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1話ページ3

キィィィ…

『ただいまー…あれ？血の匂い…』

仕事を終えて帰ってきて家の扉を開くと微かに血の匂いがした
それもよく知る人物の匂いが

『ミーくんとママの血の匂い…？』

「まあまあまあまあ！Aちゃん！おかえりなさい！！」

この甲高い声をあげる主は家族の母親
キキョウ=ゾルディック
見れば顔を包帯で巻かれていた

『ただいま。ママどーしたの？ケガ？』

「そうなのよ！聞いてちょうだい！キルが家出したのよ！ミルと私を刺して！」

『キーくんが家出？』

「でもその時のキルの顔ったら物凄く冷たい目をしていてゾルディック家の跡取りとして成長しているようで私は…」

『パパのとこいってきまーす…』

母親の言葉を遮った
このマシンガントークを聞いていたら日が暮れてしまう
“あら話はまだ終わってないのよ！”なんて言う母親をよそに父親の部屋へと向かった

『(この部屋だけは入るとき緊張するんだよねえ…)』

コンコンッ

「入れ」

キィ…という音を立てて扉を開いた
そこには銀髪の一際威圧感の放つ父親の姿

『パパただいま。ママが言ってたけど何かキーくん家出したんだって？』

「ああ。ミルの腹とキキョウの顔を刺して出ていった」

『反抗期？』

「まあ俺は別にそこまで心配はしてないがキキョウがな」

『ママは過保護だからねえ…』

三男である弟が家出した。
母親の姿を思い浮かべた
キルアは跡取りとして過保護すぎるというくらい期待され訓練にも力をいれていたのを知っている

私がそうだったように…