【SV】ポケモン嫌いの日常〔2〕 (ページ1)

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【12】心配症の先輩ページ1

「おーい、起きろ！」

体を揺さぶられ、目を覚ます。
顔を上げると、ネモとペパー先輩の姿があった。

「あれ……？なんでペパー先輩。」

周りを見ると、入り口の岩が少し崩れ、出入りできるようになっていた。辺りが少し明るくなっている。

「あ、開いたんだ…よかった。」

「だ、大丈夫なの？」

心配そうなネモがこちらを覗き込んでくる。
私はまだ夢うつつな状態で、ぼんやりしながら答えた。

「うん、すこし足を挫いたけど。寝不足だったから……気がついたら寝てたみたい。」

寝不足…その言葉に安心したのか、二人は安堵のため息を吐く。

「……ったく、心配かけやがって！こんなところでお昼寝とか…呑気ちゃんか！？」

「はは、確かに！」

ネモは笑っている。

「笑い事じゃねえって！」

ロトムを探すと、あの子は鞄の中で大人しくしていた。

「……」

初めてポケモンがそばにいる状況で眠った気がする。逆に……きっと、この子がいたから私は安心して眠ることができたんだ。

ポケモンと助け合うこと。このロトムの存在を、自分のポケモンなのだと実感する。これがポケモン…ポケモンなのか。

「ありがとね、ロトム…」

私の呟きをネモが拾った。

「あれ、ロトムと仲良しになった？！」

「どうだろう……」

ネモの嬉しそうな顔。

「仲良くなったように見える？」

「うん、ぐんぐん実ってるね！」

「いや…何が？」

「ポケモントレーナーとして！」

相変わらずネモは私にポケモンバトルをさせようとしているな。いちいち否定するのも面倒になって来たので私は笑って誤魔化す。

「それにしても…生徒会長はともかく、なんでAがこんなとことに居るんだ！？」

「スパイスを探しに！」

私の代わりにネモが答える。

「やっぱり…そんなことだと思ったけど…！ネモがいなかったらどうなってたことか…」

「まあ…たまたま想定外のトラブルが発生しただけだから。」

「お前なあ、毎回なんらかののトラブルに遭遇してるだろ！」

崖から落ちそうになるわ、スマホ壊すわ、迷子になるわ！
これまでの私の失態を羅列するペパー先輩。

「…いや、それは………その通りではあるけど…」

ペパー先輩に怒られ、反論しようにもぐうの音も出ない。
実際その通りなのである。

「もし取り返しのつかないことになったら…」

「Aはちょっと鈍臭いとこあるからな〜」

「…う、ちょっと運が悪いだけだよ！」

「運は運でも運動神経の運ね。」

そう言ってネモが笑う。
ああ、はっきり否定できないのがこれまた悔しい。