プラスとマイナス【テニスの王子様】 (ページ3)

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±3 心地よい音ページ3

「東棟から西棟へはこちらの渡り廊下で行くことができます」

先生に案内され、渡り廊下を歩いているとテニスラケットの打球音が近くで聞こえてきた。
この辺りにテニスコートがあるのだろうか。
その音に耳を澄まし、辺りを見回していると校庭から茶髪の女の子が先生に勢いよく駆け寄ってきた。

「先生ー！お兄ちゃん見ませんでした？！」
「いや、見てないなぁ」

息を切らしながら走って来た彼女は、どうやら兄を探しているようだ。

「そっかぁ、どこにいるんだろう」

探し人が見つからない彼女は眉をひそめ、困ったような表情をして考え込んでしまった。
さらさらの茶色い髪の毛の長さは肩につくかつかないくらいで、前髪は可愛らしいヘアピンでとめている。
服装は、学校の体操着とは違うスポーツウェアだ。

Aがじっと見つめていると彼女は視線をずらし、黒目がちな大きな瞳でAをみた。
目が合ったAは思わずどきっとした。

それに気づいた彼女は困り顔から一変、にっこりと笑って軽くお辞儀をして、あっという間に戻って行ってしまった。

そのニコッと微笑んだ天真爛漫な笑顔は、とても可愛らしくて花のように可憐だった。

あの格好はテニスウェアだろうか。
去っていった彼女を目で追いながら、Aは彼女の服装を思い出していた。
もしテニス部なら、彼女の戻っていった方向にテニスコートがあるのだろうか。
Aは、テニスラケットの打球音が妙に心地よく耳から離れずにいたのだった。

＊

東棟に続いて、西棟の案内も終わり学校案内ももうすぐ終わる。

「それじゃあ、案内も終わりましたので今日はこの辺で。Aさん改めて四月からよろしくね。困ったことがあったら何でも相談してくださいね」

「はい、ありがとうございます！こちらこそよろしくお願いします」

素敵な女の子にも出会えたことで、Aは四月から始まる新たな学校での生活がますます楽しみになっていた。