検索窓
今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:2,179 hit

±15 エール ページ15

「まぁ、別に顧問とか先輩とかの話はもうどうでもいい。橘さんには借りがあるから、試合で勝って絶対に返さないとって話」

返す言葉が分からずにいるAに伊武がそう答えた。

「そっか……。それじゃあ、この地区予選で絶対勝たなきゃだね!」

自分なりの応援のつもりでそう言うと、伊武は当たり前と答えた。

そういえば、神尾君も前に絶対に全国行くって言っていたっけ。男子テニス部の過去を知った今なら、あの時の真剣な表情にも納得がいく。

「それじゃ、行ってくる」

そう言って決勝の会場へと向かう彼の背中に、Aは頑張ってねとエールを送った。こちらを振り返りはしなかったが、きっと伝わったはず。と思い、Aも女子テニス部の皆のもとへと戻ることにした。

「あれ?」

もとの場所に戻ってきたはずなのだが──皆の姿がない。
どうしたものかと困っていると、青と白のユニフォームで帽子を被った男子が近くを通りかかった。
とりあえず誰かに聞かなければと思ったAは、その男子に声をかけた。

「あの、私と同じジャージの人達を見なかったかな?」
「たしか、女子テニス部の人達ならあっちで召集かかってたけど」
「えっ⁈本当に⁈」

帽子の彼にお礼を言い、この場から走って立ち去ろうとしたその時──

「待って」と呼び止められた。

どうやら、全然違う場所へ行こうとしていたみたいだ。気を取り直して、教えてもらった通りの方向へと急ぎ足で向かう。

「そそっかしいひと」

去り際、何か聞こえたような気がしたが──
それはともかく、さっきの男子も大会に出場するのだろうか。見た目からして一年生のように見えた。

一年生でレギュラーとは……私も頑張らないとな。と彼に触発されていると、女子テニス部の皆の姿が目に入った。
良かった。これで、皆のもとへ戻ることが出来る。

「Aちゃんどこ行ってたの⁈」

安心していると、Aに気付いた杏が駆け寄ってきた。Aは心配をかけた事を謝ると、彼女は不安げな表情でこちらを見た。

「もしかして私を探しに?……だとしたらごめんなさい」
「いや、私が勝手に迷っただけだから気にしないで!」

何はともあれ、皆と合流できたのだ。終わり良ければ全て良しだろう。

「そういえば、杏ちゃんはどこに行ってたの?」

Aの問いかけに、杏は真剣な表情で"ちょっとね"と答えた。
Aは彼女がどこで何をしていたかは分からなかったが、その真剣な表情の理由は少し分かった気がした。

±16 宣戦布告→←±14 知らない過去



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
9人がお気に入り
設定タグ:テニスの王子様 , テニプリ , 伊武深司   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:円山 丸 | 作成日時:2019年10月29日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。