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「夜中に呼び出されてみたら、あなたは血だらけで意識もないし、起きても何か変だし…………」
『ごめんね、ハル』
親友のことを思い出せないだなんて、同室失格だ。しかも日頃から肌を傷つけないよう厳しく言われてたのに、体に穴開けちゃったんだもの。
ハルは泣き腫らした目をしていたけれど、それでも笑ってくれた。
「まぁ、生きているだけで十分よ」
「喜八郎がAちゃんを運んでくれたよ」
善法寺先輩は汗を拭いながらそう教えてくれる。
「銃の傷も深かったけど、肋骨が2本折れて内臓を傷つけていた。あと数分遅かったら助からなかったよ」
『うわぁ……』
喜八郎、感謝感激。後でお礼言わなきゃ。
伏木蔵と乱太郎が不安そうにこちらを見ているので、力を振り絞って笑いかけた。二人とも、夜遅くまでありがとう。そんな気持ちを込める。
あ、少し表情が和らいだ。良かった。
『今、何時ですか? みんなは……』
「まだ実習中よ。さ、一旦体を拭いて、あなたは休みなさい。早く怪我を治さないと」
シナ先生がテキパキとしているので、疲れ切っていたみんなも動き出した。保健委員会の下級生はみんな眠そうで、善法寺先輩が手を繋いで連れて行く。
「しばらく熱が出るでしょう。とりあえず二週間は医務室に入室してください」
「記憶の混乱もあるみたいだし……今日はハルが一緒にいるわ」
「Aをよろしくお願いします」
シナ先生と会話を交わした山田先生と新野先生も一旦医務室を出る。
ハルに支えてもらわないと、とても身を起こせなかった。汚れた服を脱いで、ぬるま湯で体を拭いてもらう。
「良かったわ。Aがちゃんと記憶を取り戻して」
シナ先生が言う。私は目を閉じた。
『全部思い出しました…………両親に、早く伝えたいです』
今まで散々苦労をかけてしまったから。もう一度、前のように暮らしたいなぁ。全てがめちゃくちゃになる前のように。
寝巻きに着替える頃にはだんだん熱っぽくなってきていた。この前と同じような頭痛もしてきて、大人しく布団に横たわる。
痛くて眠れないと思っていたけれど、体は本当にボロボロで休息を求めていた。少しだけハルと言葉を交わした後、私の意識は眠りの世界に落ちていった。夢すら見ない、深い眠りへ。
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メロンパン(プロフ) - みんながわい”い”ーー!!!😭 (2022年11月3日 20時) (レス) @page16 id: c77e52a74c (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - あいさん» ありがとうございます……! (2022年4月27日 0時) (レス) id: af895ee0d7 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 初コメです!! これ面白いです! 続き頑張ってください (2022年4月13日 8時) (レス) @page44 id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - 愛衣さん» 愛衣さん、いつもコメントありがとうございます!読んで貰えてこその小説ですので、愛衣さんのような方がいてくださって本当に嬉しいです(*^^*)コロナに負けずに頑張りましょうね!これからもよろしくお願いしますm(_ _)m (2021年6月18日 23時) (レス) id: 53993a59b7 (このIDを非表示/違反報告)
愛衣(プロフ) - 長くなって申し訳ございません!!これからもずっと応援しています!大好きです!!!!更新頑張ってください!! (2021年6月18日 22時) (レス) id: 67408eab69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まみむー | 作成日時:2021年6月5日 19時