深く、永い夢の段 ページ7
また私は、真っ暗な世界にいた。立っているのか浮いているのか、それすらも分からない不思議な世界。ビリビリ、と古い電灯のような音ともに、目の前にスクリーンが現れる。
「選択の時が来た…………」
あの声が耳元で囁く。そう、GOD(仮)だ。この時がとうとう来てしまった、そう思うけれど不思議と私の頭は冷静だった。
私、死にかけているんだ。元の世界の自分と同じ条件になっているんだ。どちらかを選べば、どちらかは死ぬ。だから記憶を取り戻して、完全な状態にならなきゃならなかった。
「分かっているようね」
声は少し笑いを含んでいた。
「今から見せるのはこちらの世界の記憶…………そう、これもあなたの記憶なのよ」
幼い頃の記憶は曖昧で、父上と母上、マツオウジ城のみんな、仲のいい友達や親戚の顔が次々と現れる。共通して言えるのは、みんなが笑っていることだ。
城に遊びに行くときは、いつもさっちゃんが一緒に居てくれる。私の叔父は立派な口髭が自慢で、いつも甘いものをくれるもんだから甘党に育っちゃった。
お姫様は唯一年の近いお友達で、いつも部屋に籠って勉強をさせられているの。だから私と遊ぶときは決まって嬉しそうで、迎えに行くと転がるようにして出迎えてくれる。
従兄弟はよくうちに遊びに来てくれて、本当に大好きな存在。お互い一人っ子だから、私は兄上と呼んで慕っていたし、兄上は私をとても大切にしてくれた。でも、もう、ずっと会ってないや。
八年分、その記憶は本当に濃密だった。今までどうして忘れていたんだろう。これは紛れもなく、私の記憶だ。私は……………………AAなんだ。
『思い出した…………思い出したよ、全部…………』
私は呟いた。
『父上に悪いことしちゃった。前はあんなに遊んでいたのに』
目がスクリーンから離れない。最後の記憶は、熱病にかかって床に伏せた時。
熱い。苦しい。息ができない。そんな時間がまるで永遠に続くように感じた。体が辛いのも嫌だったけれど、私の顔を覗き込む度に母上も父上も悲しそうな顔をするのはもっと嫌だった。
苦しすぎて、いっそのこと死んでしまいたい。八歳の私は、ずっとそんなことばかり考えていたんた。
『死んでしまいたいだなんて…………考えるもんじゃないよ』
どうしよう………………選べないよ。
だって、どちらも「私」なんだもの。
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メロンパン(プロフ) - みんながわい”い”ーー！！！😭 (2022年11月3日 20時) (
レス) @page16 id: c77e52a74c (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - あいさん» ありがとうございます……！ (2022年4月27日 0時) (レス) id: af895ee0d7 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 初コメです！！ これ面白いです！ 続き頑張ってください (2022年4月13日 8時) (レス) @page44 id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - 愛衣さん» 愛衣さん、いつもコメントありがとうございます！読んで貰えてこその小説ですので、愛衣さんのような方がいてくださって本当に嬉しいです(*^^*)コロナに負けずに頑張りましょうね！これからもよろしくお願いしますm(_ _)m (2021年6月18日 23時) (レス) id: 53993a59b7 (このIDを非表示/違反報告)
愛衣(プロフ) - 長くなって申し訳ございません！！これからもずっと応援しています！大好きです！！！！更新頑張ってください！！ (2021年6月18日 22時) (レス) id: 67408eab69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まみむー | 作成日時：2021年6月5日 19時
