検索窓
今日:11 hit、昨日:11 hit、合計:54,182 hit

ページ5

息を吹きかけた羽毛のように、私とタカ丸さんの体はふっとんだ。地面に落ちた衝撃で背中が痺れ、肺の息が全て吐き出される。しかしそれらの痛みはなかった────感じなかったというべきか。

 ああ、まずい。以前にも経験のある、体の中から焼かれているような痛み。脇腹を押さえると既に服はじっとりと濡れていた。冷や汗が噴き出して来る。

「Aちゃん! 大丈夫⁉」

 少し離れたところで倒れ込んでいたタカ丸さんの声が聞こえて、私の意識は現状に引き戻された。そうだ、まだ私にはやることがある……!

『ちょっと掠っただけです! 早くいきましょう!』

 無理やり身を起こし、集合場所へと再び駆ける。火縄銃を撃った忍者に追いつかれたら、戦える自信がない。けれど今は、タカ丸さんを無事に送り届けないと。それまでは、倒れる訳にはいかないのだ。


 行きの何倍も時間がかかった気がした。それでも私とタカ丸さんは何とか息も絶え絶えに、暗い廃寺へと辿り着いた。

「はぁ、はぁ、着いた…………!」

 タカ丸さんが疲れと嬉しさの入り混じった声で言う。奥からは既に帰ってきている三人の声も聞こえた。

「私がせっかく助けてやったのにその言い方はないだろ! 感謝の気持ちはないのか!」
「ふん、この私の見事な戦輪裁きで相手を蹴散らすところだったのだ! 助けなど求めておらぬわ!」

  あー、納得。三木エ門が滝夜叉丸を助けたのね。
 二人とも今更そんなことで喧嘩しているなんて…………私はもう止める気にもなれなくてため息をついた。何だか、一気に力が抜けてくる。アドレナリンが切れたのか痛みまで戻ってきた。

『痛ぁ…………』

 思わず柱に寄りかかってずるずると座り込む。もはや階段を上がる気力も残っていなかった。押さえた脇腹からはまだ血が流れていて、思わず声が漏れた。

「Aちゃん⁉」

 タカ丸さんが慌てて駆け寄ってくる。傷口を調べるように触られて、体の中が滅多刺しにされているような痛みが走った。

『うっ…………』
「何でこんな傷…………みんな、灯り持ってきて! 急いで!」

「やっと帰ってきたか、遅かったなぁ」
「どこで道草くって…………っておい⁉ 酷い怪我じゃないか!」
「A!」

 痛みに思わず顔を歪める。霞む視界の中で、次々に駆け寄ってくる仲間の姿は見えた。灯りに照らされた自分の体は思った以上に真っ赤でびっくりした。こんな状態で、走っていたなんてね。

▽→←▽



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (147 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
256人がお気に入り
設定タグ:忍たま , RKRN , 夢小説
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

メロンパン(プロフ) - みんながわい”い”ーー!!!😭 (2022年11月3日 20時) (レス) @page16 id: c77e52a74c (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - あいさん» ありがとうございます……! (2022年4月27日 0時) (レス) id: af895ee0d7 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 初コメです!! これ面白いです! 続き頑張ってください (2022年4月13日 8時) (レス) @page44 id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - 愛衣さん» 愛衣さん、いつもコメントありがとうございます!読んで貰えてこその小説ですので、愛衣さんのような方がいてくださって本当に嬉しいです(*^^*)コロナに負けずに頑張りましょうね!これからもよろしくお願いしますm(_ _)m (2021年6月18日 23時) (レス) id: 53993a59b7 (このIDを非表示/違反報告)
愛衣(プロフ) - 長くなって申し訳ございません!!これからもずっと応援しています!大好きです!!!!更新頑張ってください!! (2021年6月18日 22時) (レス) id: 67408eab69 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まみむー | 作成日時:2021年6月5日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。