タソガレドキとの遭遇の段 ページ33
あー足が痛い。もう丸一日逃げ続けてるよ私。
オーマガトキ領に入った辺りから体力が限界を迎えていた。ここの人間に見つかりでもしたらまた面倒なことになるからさっさと抜けてしまいたい。戦をしている領地ほど居心地の悪い場所はないよ。
すっかり日が暮れて辺りは暗い。明日には安全な所に辿り着きたいとこだけど…………如何せん体力の限界が近い。もう動けないよ。
『今日はこの森で休もうかな……って何だか騒がしいなぁ』
夜の森にしては何だかピリついた雰囲気を感じ取る。木の上から辺りを見ると、少し離れた所に村の存在を確認した。たいまつが燃えているのか明るい。人がいる気配もする。あれ、あそこにいるのって────
「おやおや、これは…………」
『っ!誰!?』
全く気配を感じなかった。全身に鳥肌が立つような恐怖にパッと振り返ると、そこには包帯に身を包んだ大男が立っていた。
『タソガレドキ忍者の、雑渡昆奈門……!』
「私を知っているのか。随分とボロボロじゃないか、マツオウジ忍者の娘さん」
うわもうタソガレドキ城にまで顔バレしてるよ私。父上から特徴を聞いていたから雑渡昆奈門だとわかったけど、この人は何で私を知ってるの。
「お頭、無事に忍術学園の生徒たちを撒いてきました」
「ん、ご苦労さん」
雑渡昆奈門の横にどこからかもう一人の忍者が降りてくる。敵が増えたことよりも私はあるキーワードに注意を奪われていた。
『忍術学園の生徒がここにいるの……?』
嘘でしょ。忍術学園の迷惑にならないように逃げていたのにまさかここにみんながいるなんて。事情は知らないけれど私はここにいてはいけない。
「やっと追いついた……ってタソガレドキ!?」
さらにそこに追加されたのはトフンタケ忍者の切羽拓郎。追いつかれてしまった。
これは……
逃げるしかないでしょ!!
「待て!」
「追え、陣左」
「はっ!」
待つわけないし追わせないでよもう!!泣きたい気持ちになりながら私は必死の逃亡を図る。これはだいぶ詰んだ。2回目の人生がそろそろ終わりそうだ。
後ろからの攻撃の気配。振り返って苦無で受け止めると金属音が夜の森に響き渡った。陣左と呼ばれたタソガレドキ忍者は手を緩めることなく攻撃してくる。何度も苦無がぶつかり合う音をさせながら、私は後退一方だ。実力差がありすぎる。
さらに肩に蹴りを入れられて倒れ込んだ。もうだめだ。次に来るであろう一撃に、私はぎゅっと目を閉じた。
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メロンパン(プロフ) - みんながわい”い”ーー!!!😭 (2022年11月3日 20時) (レス) @page16 id: c77e52a74c (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - あいさん» ありがとうございます……! (2022年4月27日 0時) (レス) id: af895ee0d7 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 初コメです!! これ面白いです! 続き頑張ってください (2022年4月13日 8時) (レス) @page44 id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - 愛衣さん» 愛衣さん、いつもコメントありがとうございます!読んで貰えてこその小説ですので、愛衣さんのような方がいてくださって本当に嬉しいです(*^^*)コロナに負けずに頑張りましょうね!これからもよろしくお願いしますm(_ _)m (2021年6月18日 23時) (レス) id: 53993a59b7 (このIDを非表示/違反報告)
愛衣(プロフ) - 長くなって申し訳ございません!!これからもずっと応援しています!大好きです!!!!更新頑張ってください!! (2021年6月18日 22時) (レス) id: 67408eab69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まみむー | 作成日時:2021年6月5日 19時