夏が来るの段 ページ26
兄上は本当に有名人らしい。私と兄上の関係はすぐに忍術学園中に広まった。と言うより、兄上は私に頻繁に会いに来てくれるようになったし、これまでの空白の時間を埋めるように私たちはたくさん話して笑った。
ハルたちにも驚かれたよね。そんな大事なことを何で言わないんだって。サインもらってきてとも言われたよ。
私の傷が完治する頃には、すっかり夏になっていた。
今日からはいよいよ夏休み。私が忍たまに来てから最初の夏休みだ。
「気をつけてね、A、利吉さん」
「ああ、ハルさんも」
『また新学期に会おうね』
大好きな親友ともしばらくはお別れ。マツオウジ城の忍頭の娘である私は、よく父親が恨みを買った相手に絡まれるのだが今日は兄上が一緒だ。きっと楽しい帰路になるだろう。
「A、利吉さん」
『久々知先輩！五年生の皆さんも』
門を出てゆっくり歩いていると、五年生一同が追いついてきた。一緒に帰ってるんだ、仲良いな。
「すっかり元気になったね。もう大丈夫なの？」
『ええ、おかげさまで。皆さんにはご心配をおかけしました』
不破先輩が今日も優しくて私は幸せです。よかったぁ、と更ににっこり笑うので私もつられて笑う。
「君たちはこれからどこかに行くのかい？」
「みんなで団子でも食べようかなって。お二人も一緒にどうですか？」
兄上が聞くと尾浜先輩が誘ってくれた。行きたい気持ちは山々だけど、夏休み前の団欒を邪魔しちゃ悪い。尾浜先輩チョイスなら美味しいだろうな。
『いえ、私たちはまっすぐ帰ろうと思います。何かあると両親が心配するので』
「家遠いもんなぁ。じゃあまた今度食べに行こっか」
その言葉に全力で頷く。前回一緒に出かけた時はぶっ倒れたからね、私。次は最後まで楽しむよ。
「じゃ、また新学期にね」
『先輩方もお気をつけて』
そっかぁ、しばらくお別れなのかぁ。楽しそうに話す先輩達の背中を見送りながら、ちょっとだけ寂しくなってしまう。
「Aはいろんな忍たまと仲良くなったんだな」
『うん、この数ヶ月で本当にたくさんの出会いがあったんだよ』
最初は緊張してお面なんかつけて。肩掴まれただけで気絶したりして。
それでもみんなが優しくしてくれたから、ここまで来れたんだ。
きっとみんながいなかったら、私は記憶を取り戻すことも苦手をなくすこともできなかっただろう。
今日から長い夏休み。きっと素敵な休みになるだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 256人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メロンパン(プロフ) - みんながわい”い”ーー！！！😭 (2022年11月3日 20時) (
レス) @page16 id: c77e52a74c (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - あいさん» ありがとうございます……！ (2022年4月27日 0時) (レス) id: af895ee0d7 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 初コメです！！ これ面白いです！ 続き頑張ってください (2022年4月13日 8時) (レス) @page44 id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - 愛衣さん» 愛衣さん、いつもコメントありがとうございます！読んで貰えてこその小説ですので、愛衣さんのような方がいてくださって本当に嬉しいです(*^^*)コロナに負けずに頑張りましょうね！これからもよろしくお願いしますm(_ _)m (2021年6月18日 23時) (レス) id: 53993a59b7 (このIDを非表示/違反報告)
愛衣(プロフ) - 長くなって申し訳ございません！！これからもずっと応援しています！大好きです！！！！更新頑張ってください！！ (2021年6月18日 22時) (レス) id: 67408eab69 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まみむー | 作成日時：2021年6月5日 19時
