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「Aちゃん、一旦部屋に戻ろう。休んだ方がいい」
『はぁ、はぁ……すみませ……』

善法寺先輩の救いの手に縋るようにもたれる。早くこの場から離れたい。
足に力が入らない。結局先輩に運ばれることになったがその間、私はずっと笑いを堪えて震えていた。善法寺先輩はプロだから、私が体調が悪くてこんな事になったわけではないと気が付いているはずだ。本当にあの三人から引き離してくれて感謝だ。



部屋についた瞬間、私は耐えきれなくなった。

『ふふ、あっははは!!』

こんなに笑ったのは久しぶりだ。むしろ身をよじり、涙が出るほど笑うなんて、これまでにあったのだろうか。

「Aちゃん……」

笑い転げる私の横で、先輩もやれやれと言う顔をしている。

『ごめんなさい、失礼だとは分かっているんですけど、どうしても女装とは思えなくて……』
「気持ちは分かるよ。現にテストで不合格になったばかりなんだ」

一通り波が過ぎて目元を拭きながら言うと、先輩に共感してもらえた。あの優秀な六年生たちでも苦手なことはあるんだね。ちょっとだけ親近感湧いちゃった。

「それじゃ、僕は戻るよ。Aちゃん、側から見たらすごく体調悪そうだったから、きっとみんな心配してるだろうな」

『ありがとうございました……あ、一ついいですか』

「なに?」

部屋を出ようとする先輩を引き止める。私は上着を脱いだ。腰に巻かれた包帯に、じんわりと鮮血が染みている。

『笑いを堪えてたら傷が開いたみたいで。包帯だけ替えたいなって思うんですが』

善法寺先輩の顔色が変わった。

「それを先に言ってくれ!」




一方その頃、他の六年生。

女装した自分たちと会ったことで、後輩が体調を崩したと勘違いした三人は。

「女装、もう少し頑張るか……」
「あいつがあんなになるくらいだから、相当酷いのか、俺たちは」
「えー、私もなのか?」

留三郎と文次郎、そして小平太までもが自身の問題を自覚し始めた。散々この三人に手を焼いてきた仙蔵と長次は、心の中でAにグッジョブ!と親指を立てたのだった。


─────────
「お嬢さんと呼ばれたいの段」の後のお話みたいな感じです!

夏が来るの段→←お嬢さんとの遭遇の段



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メロンパン(プロフ) - みんながわい”い”ーー!!!😭 (2022年11月3日 20時) (レス) @page16 id: c77e52a74c (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - あいさん» ありがとうございます……! (2022年4月27日 0時) (レス) id: af895ee0d7 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 初コメです!! これ面白いです! 続き頑張ってください (2022年4月13日 8時) (レス) @page44 id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - 愛衣さん» 愛衣さん、いつもコメントありがとうございます!読んで貰えてこその小説ですので、愛衣さんのような方がいてくださって本当に嬉しいです(*^^*)コロナに負けずに頑張りましょうね!これからもよろしくお願いしますm(_ _)m (2021年6月18日 23時) (レス) id: 53993a59b7 (このIDを非表示/違反報告)
愛衣(プロフ) - 長くなって申し訳ございません!!これからもずっと応援しています!大好きです!!!!更新頑張ってください!! (2021年6月18日 22時) (レス) id: 67408eab69 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まみむー | 作成日時:2021年6月5日 19時

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