優秀なくのたま劣等生！其の一

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『実は、そうなの。ひどい点数を取ってシナ先生にも怒られちゃって…………』

言っているうちに情けなく思えて来る。何であんな点数取っちゃったんだろう。

「そんなの俺たち毎日っすよ」

きり丸が歯を見せて笑う。

「視力検査並みって言われてますから」

三治郎も笑っているがそれ大丈夫なのかな。

「元気出してください、A先輩」

乱太郎の優しさがじんわりと染みる。あなたが主人公である理由が分かったよ。

『ありがとう、みんな』

〇点は流石に立ち直り難いが、気持ちを分かってもらえると随分楽になった。私もこれくらい、悪い成績を笑い飛ばせるくらいにならないと。

「なんだ、ちゃんと話せているじゃないか」

　三木エ門の言葉にはっとする。

『本当だ。一年生なら大丈夫なのかも』

だってこの子達を見ると、男の子！ というよりは可愛い後輩！ っていう印象が来るんだもん。後輩は本当にいいものです。さっきA先輩って言ってくれて嬉しかった。先輩元気になった。

「なるほど、男が苦手なのですね」

庄ちゃんたら冷静ね。

「僕たちのことも苦手ですか？」

金吾が心配そうに聞いてくる。私は椅子から降りるとしゃがんで目線を合わせた。

『ううん、苦手じゃないよ。さっきまで緊張してたけど、みんなが話しかけてくれてすごく嬉しかった。もっとお話ししたいな』

「よかったです！」

金吾はふにゃりと笑う。

「僕、刀が好きなんです。今度見に来ませんか？」

『本当に⁉ ぜひ見に行きたいなぁ』

それを聞いて他の子達も身を乗り出し始める。

「先輩、僕たちも！」
「ナメクジさんもいますよ！」
「馬は好きですか？」

「一気にしゃべるな！」

三木エ門が雷を落とす。彼は不機嫌そうにみんなを見た。

「ほら、昼休みが終わる前に食べてしまえ。早くしないと遅刻するぞ」

それを聞いて慌てだす一年生。それでも挨拶はしてくれた。Ｎ◯Ｋでやっているだけあってこういうところはちゃんとしている。
みんなとさよならすると、三木エ門の方が疲れたように息をつく。

「A、あいつらと関わるとロクなことがないぞ。ほどほどにしておけ」

『え？ うん、分かった……』

は組ってトラブルメーカーだもんね。すごく可愛かったのに、惜しい。



「おい、お前らも早くしないと遅刻するぞ」
『えっ！？』
「わ、まずい！」

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