優秀なくのたま劣等生！其の一

学級委員長の回想の段 ページ42

こんばんは。五年い組、学級委員長委員会の尾浜勘右衛門です。昨日の実習はかなり疲れるものだったけど、学園に帰ると面白いことになっていた。まさか、くのたまが忍たまの授業を受けるなんてね。

　会うのを楽しみにしていたけど、夕食には来なかったらしい。三木エ門達が話しているのを聞くと、ハルちゃんがかなり可愛がっているようだ。こりゃ手強い。


　朝になるといい知らせが入ってきた。どうやら委員会に参加するらしい。でもAAなんて聞いたことがない。どんな子なのだろう、と俺は午前の授業中にずっと考えていた。雷蔵は礼儀正しいと言っていたが、素顔を狐のお面で隠しているという情報とのギャップが大きすぎる。


　でも実際に会ってみると礼儀正しいのは本当だった。不意をついてみようとしたがすぐに回避される。男が苦手なのも本当らしい。三郎に至っては最初から嫌われていたが。女の子の部屋に入り込むなんて、あいつもなかなかやるよな。

　正直、男が苦手なくのたまなんて潮江先輩あたりに馬鹿にされるだろうと思っていた。実際に会計委員会に行くと、潮江先輩は気に入らないような顔をしていたし、一〇キロ算盤を投げて寄越したりもしていた。それにめげなかったAちゃんはなかなか強いと思う。おまけに見事な計算能力を披露して潮江先輩をあっと言わせた。いや、必死になった先輩も面白かったなぁ。

　図書委員会では案外すぐ馴染んでいたけど、中在家先輩にも好かれているらしかった。本をよく読むんだろう、Aちゃんは嬉しそうに図書室を見て回っていた。南蛮の本も手に取っていたけど読めるのかな。だとしたら相当頭が良い。ほとんど見に行かないうちに委員会を決めてしまいそうだったから、ここは学級委員長委員会として止めた。意外と単純で、素直に従ってくれる。


作法では立花先輩が獲物を見つけたような顔をしていた。本人は気づいていなかったみたいだけど、振る舞いとかをかなり見られていた。所謂品定めってやつかな。喜八郎の前では堂々とお面を取っていて、結構呆気なく素顔を見せていた。角度的に見ることが出来たのは喜八郎だけだ。どんな顔をしているかは分からないが、Aちゃんは綺麗な肌をしているし、髪もさらさらでスタイルも良い。狐のお面がミステリアスな面を生み出すことで、それがかなりそそられる。



　

▽→←可愛い後輩たちの段

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す