優秀なくのたま劣等生！其の一

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「虫だけじゃありませんよ？」

　先ほどまでほぼジュンコへの愛の言葉しか囁いていなかった孫兵が喋った。

「タヌキに、ウサギに、ヒヨコ。リスにモモンガまでいます」

『本当ですか』

　さっと立ち上がった。それを早く言ってもらわないと。心は現代人の私にとってＫＡＷＡＩＩは正義なのです。もふもふは譲れない。

「A先輩」

　庄左ヱ門が私を呼び止める。そこではっと自我を取り戻す。危ない危ない。可愛い動物なんか見たら一瞬で生物委員会に決めちゃう。孫兵、なかなか小賢しい。

『それは、また今度見せてもらうね。今は時間も押してるし』

「そうですか…………ですが、また来てくださいね。ジュンコも先輩のことが凄く好きみたいですから」

　孫兵が期待するように見上げてくる。

「それはもちろん。私もあなたが大好き、ジュンコ。またね」

　そっと手を伸ばすとさっきみたいに擦り寄せてくれる。可愛いなぁ。嬉しさに思わず笑ってしまった。

「それじゃあ、引き上げるか」

　尾浜先輩が言う。また来てください！ と一年生達も声をかけてくれた。みんな小動物みたいで癒される。あなた達がいるなら、絶対に来ます。

「悪いな、ジュンコ探しを手伝ってもらって」
「いえ、楽しかったです。ありがとうございました」

　カラッと晴れた空のようなスマイルを向けられて、竹谷先輩の人の良さが垣間見えた。生物委員会も良さそうだ。

　既に外に出ていた学級委員長委員会について行く。すっかり夕方になっていて、濃い一日だったとしんみりと感じる。本当に…………濃かった。着実に溜まっている疲れを噛み締めながら校舎に戻ると、そこには生物委員会に次ぐ更なる癒しが私を待っていた。




三治郎「ジュンコ、すっかりA先輩に懐いちゃいましたね！」
孫兵「そうだね。ところで竹谷先輩、顔が赤いですが、どうされたんですか？」
八左ヱ門「えっ！ その、Aが来てくれるといいなって！ あははは……」

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