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「五年ろ組、鉢屋三郎だ」

超至近距離から声がした。身を震わせて思わず振り返った瞬間、目の前にあったのは見たことのある顔。

『…………いやぁあ!』

はい先生。今のは絶対に先輩が悪い。全力で離れようとしたが余りの恐怖に腰が抜けて尻餅をつく。ううう、心も体も痛い。

「A先輩、大丈夫ですか!?」

駆け寄ってくれる一年生がとてつもなく愛おしい。彦四郎くん、君可愛いね。

「嫌って言われてますけど…………」

「彼女すごく怯えてるじゃないか。何したんだ?」

庄左エ門と尾浜先輩は呆れたように言う。鉢屋先輩に呆れているのか私に呆れているのか分からなくて怖い。

「さあ。大丈夫かい?」

鉢屋先輩はそう言いながらも薄ら笑いを浮かべている。

よくもいけしゃあしゃあと。忍たま校舎に近づけなくなった理由、その二なのに。別に話したことがある訳でもない。顔も図書室の先輩と同じだから見たことがあるだけ。でも雰囲気は知っている。

『三回ほど、先輩の気配を感じたことがあります。一度は図書室、一度は食堂。一度は私の部屋で。鉢屋先輩ですよね?』

この先輩相手に声が震える自分を叱咤する。ゴリラと同じで舐められたら終わりだ。強気で強気で。

「気付いていたのか?」

先輩は取り繕うこともなく目をパッと見開く。確信犯だ。本当に勘弁してほしい。部屋に突然男の気配を感じるとか恐怖でしかないだろう。ハルを連れてくノ一の先輩の部屋に泣きながら駆け込んだわ。

「そんなことしていたのか。よく山本シナ先生に殺されなかったな」

尾浜先輩、そこじゃないんですよー。

「鉢屋先輩、自重してください。A先輩に嫌われるのも当然です」

 庄左エ門たら、冷静ね。後輩に言われると流石に反省したのか、しゅんとする。それに反して、私はだんだん腰に力が入るようになってきた。

「先輩、気にしないでください。鉢屋先輩のちょっとした悪ふざけです」

 彦四郎が精一杯フォローしてくれる。この子に言われると荒み切った心が癒されていく。ここで先輩を許すのは癪だが、仕方あるまい。

『…………今日はわざわざありがとうございます。よろしくお願いします』

 手をついて立ち上がると、私はペコリと頭を下げた。

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設定タグ:忍たま , RKRN , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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砂糖水 - (_;´꒳`;):_同じくぅぅぅぅ (2023年3月21日 21時) (レス) id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
黒糖さまでーす - 天女じゃない所は良き、ですがオリキャラとモブは無理だったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(((泣 (2023年3月4日 17時) (レス) @page12 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - 初心者Mさん» 自分では仲のいい忍術学園しか想像出来ず、こうなりました笑 鼻血が出てますよ□ヾ(・∀・`o)フキフキ読んでくださってありがとうございます! (2021年3月17日 21時) (レス) id: bb04bdd80d (このIDを非表示/違反報告)
初心者M - 天女ものではない所が、好きです。(鼻血) (2021年3月17日 21時) (レス) id: 8867205e66 (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - にゃんこさん» にゃんこさん、ありがとうごさいます!誰にも読んでもらえないと思っていたので凄く嬉しいです! (2021年3月17日 14時) (レス) id: bb04bdd80d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まみむー | 作成日時:2021年3月16日 12時

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