いざ、試験の段 ページ4
「試験の内容は、その紙に書いてあるわ。私がいなくなってから見ること。良いわね?」
私は今、小袖に身を包んで町にいます。化粧もして、髪も整えている。この前火薬委員会で町に行った際に追っ手から逃げるために走ったせいで下駄がボロボロだ。まぁ、バレないだろうけど。
今日はいよいよ色の試験。これまでは男性に話しかけられないまま〇点を叩き出していた、あの色の科目だ。
流石にあの時よりは成長しててくれよ、私。この試験に落ちたら退学になるんだから。
『はい、問題ありません』
まぁ、お面もつけていないし緊張もしていない。あとは、なるようになるはずだ。
美しい女性のシナ先生は、魅惑的に微笑んだ。側を通る殿方たちの熱い視線が集まってるよ。
「ずっと頑張ってきたものね。いい結果が出ることを祈ってるわ」
そのまま踵を返して立ち去っていく。その姿が見えなくなるのを確かめてから、私は貰った紙を開いた。
なになに、『異性から贈り物をもらうべし……?』
流石にシナ先生も鬼じゃないらしい。これで××せよとか書いてあったら泣いちゃう。
けれど、初めて会う殿方から贈り物をもらう、か。
『きゃっ!』
「っ!? すまない、お嬢さん。怪我はないかい?」
道を歩いていると、すれ違いざまに男性とぶつかってしまった。勢い余って転んだ私に、その人は慌てて声をかけてくる。
『いたた……こちらこそすみません。大丈夫です……あ』
上半身を起こしながら謝る。服に砂がついてしまった。立ちあがろうとしたら足に違和感があって思わず声を漏らす。
「おや、下駄の鼻緒が千切れてしまったね。申し訳ない、これから新しいのを買う時間はあるかい?」
『お気遣いなく……もともと古いものでしたので』
「そんなこと言わずに。さぁ、参りましょう」
差し出された手。紳士的な物言い。見上げると、優しそうな男性がこちらを見ていた。
『では、お言葉に甘えて』
私はそっと手を取った。
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スイちゃんですよ〜☆ - 長文失礼しました!(*´ω`*) (2023年1月7日 4時) (レス) id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんですよ〜☆ - 全部読みました!!!!(´Д`)うん、なんだろ、自分が忍たま乱太郎の夢小説見たなかで一番好きな奴でした(^ω^)ニッハッハ完結おめでとございます!!!!(´・ω・`)すべてにおいて、最高でしたね♪(*´∇`*)自分は4、5、6年生、利吉さんが大好きなんで最高でした(*´ω`*) (2023年1月7日 4時) (レス) @page13 id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
メロンパン(プロフ) - 今更感がありますが、完結おめでとうございます!!面白くって、一気に読んでしまいました!夢主ちゃんの性格も好みで、なにより四年生推しなので設定最高でした(人*´∀`) 途中途中、尊すぎて語彙力なくなってました笑 (2022年11月3日 22時) (レス) @page14 id: c77e52a74c (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 空き時間等に読んでいたので読み終えるのに時間がかかりましたが、最後らへんは一気見しちゃいました。夢主ちゃんは可愛いし、忍たまとの絡みも最高過ぎです。お話も凄く良かったです。現代に戻ってたらどうなったかな〜と考えたりも…。素敵な作品を有難うございます! (2022年10月16日 20時) (レス) @page14 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
愛衣(プロフ) - まみむー様お久しぶりです!そして完結おめでとうございます!!いい終わり方で凄く読んでて面白かったです!次の作品も、もうお気に入り登録してしまいました🥰まだコロナが完全に終息していなくて不安ですがお互い気をつけて過ごしましょうね! (2022年8月25日 20時) (レス) id: 3b7839b983 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まみむー | 作成日時:2022年6月18日 23時