# 狸達と特別授業 ページ15
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今、僕の前に座っているのは、ハートの女王の像を黒焦げにした張本人の狸とその飼い主。
聞くところによると、昨日学園長から入学を許可されたらしく、朝から僕と一緒の授業を受けていた。
特別授業、だなんて言い方を学園長はしていたけど、体の良い、狸の躾だろう。
僕、躾得意じゃないんだけど。クルーウェル先生とかのほうが出来そうじゃない……?
まあ、学園長に借りを作るのは悪くない。僕の学園生活がご主人様以外で騒がしくなるのも嫌だし。
ちょ〜と静かにして貰えるように
さっきも休み時間、脱走してたみたいだしねぇ…?
「 ……狸がここに来た理由は? 」
「 だ、大魔法士、に、なりに、きたゾ!……です 」
「 …へぇ。なのになんで逃げたの……? 」
「 ……そ、それは…… 」
僕が威圧しているからか汗をダラダラにしながら、ポツポツを話し始める狸。
………狸を抱き抱える飼い主が白目になっているのは僕の気のせいだと思う。
狸は、大きな魔法も使えないし、退屈だったから脱走したみたいだった。
…まあ。難しいことを言っても分からないと思うからさ?
「 ………次、僕がいるところで騒ぎを起こせば……分かってるね……? 」
「 ひゃッ、ひゃい………… 」
………………やりすぎたかな、コレ。
僕の目がおかしいのかなぁ。なんか倒れてる狸とさっきから一ミリも動かない飼い主がいるんだけど。
……ま、いいか。僕はご主人様とご飯食べる約束してるし。さっさと行こ〜!
そういや、昨日の宴は凄かったな。パレードは物凄い見物だった。
ご主人様にそれ言ったら死ぬほど喜んでたし、アレ僕に見せたかったんだろうなぁ。
ご飯も沢山あったし、どれも素晴らしく美味しかった。
…遠い目をしていたジャミルは…もう、不憫。としか言いようがなかったけど。
昨日の宴のことを考えながら、後ろの扉から教室を出る。
そんな僕とは裏腹に、前の扉からハートの形をした首輪をつけたハートのペイントをしたやつと、スペードのペイントをしたやつが教室に駆け込む。
………嗚呼、また厄介事の予感がするなぁ。
別に厄介事を起こしてもいいけど、僕及び僕の周りにも被害を出さないようにして欲しい。
ご主人様?…ふふ、そんなことしたら……ね?
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れたら - 続きはありますか、?あったらぜひ読みたいです!更新待ってます (2022年3月31日 18時) (レス) id: 3a8e68ec4e (このIDを非表示/違反報告)
パピコ(プロフ) - 最高です。更新待ってます (2020年7月12日 0時) (レス) id: f19b0b021f (このIDを非表示/違反報告)
ココ - この小説とても好きです!更新楽しみにしてます。 (2020年6月4日 2時) (レス) id: 93e09ab845 (このIDを非表示/違反報告)
pokettoame(プロフ) - あーこれは……続きが気になります…… (2020年5月27日 12時) (レス) id: 2f9884d86e (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - ワンコ可愛いですよね!これからも無理せずに頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年5月21日 1時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千紗 | 作成日時:2020年5月13日 15時