【w.r.w.r.d】兄さん、あのね。 (ページ15)

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十つ目ページ15

鬱「なぁ、なんで僕が大先生なんて呼ばれとるか知っとう？」

シャオ「知らんわ、、、なんでなん？」

鬱「僕な、元研究者だったんよ...研機薰容は...『人体はどれだけ外傷並びに内傷に耐えうるか』や。」

ひと「それって!!」

鬱「せやで。らんらん。人体実験や。」

鬱は煙草を吹かせた。

鬱「僕な昔から研究みたいなことが好きやったんよ。無限にある自分の知らないこと、それを自分の脳に記憶することにより昔の僕は快楽を味わっとったんや。それが、他人の体を犠牲にしてでもな。」

グ「大先生はその優秀な功績を認められとある一国の研究機関に招待された。それが、ドルン研究所」

トン「茨の研究所...結構前に研究中に爆破したところやんな？」

鬱「まぁ、優秀や言われても僕は研究者の中では断トツで若かった。せやから、最初は被検体の世話からやった。僕が担当になった被検体が...」

鬱が視線をゾムに寄越す。

ゾム「俺や...」

シャオ「ゾム！？」

ゾム「そ。俺は生まれてからすぐに両親が死んだらしい。んで産まれたばかりの俺を見つけたのがドルン研究所の研究者やった。俺が物心ついたころはドルンにはかなりの子供や大人がおった。」

コネ「そんなころから研究所におったん！？」

ゾム「おう。でもな、俺ら被検体たちは互いの身を寄せ合って毎日生きてきた。
毎日人が減って、昨日まで隣で体を震わせてたやつが次の日には死体となって処分されんのを見る日やってあったわ。減っても、研究者たちが新たに子供たちを連れてきた。そんなある日、黒髪に真っ赤な瞳の子供が連れてこられた。それが、ギルや。あいつが来た頃には殆どドルンには被検体がおらんかった。片手で数えられるくらいやったわ。」

トン「なぁ、質問は後のがええか？」

ゾム「いまでもええけどトントン何？」

トン「その連れてこられた赤ん坊はどこから来たんかわかるか？」

ゾム「おん。わかるでスニェーク村らしいで。俺が聞いたんはそこやから間違いないと思う。」

トン「スニェーク...それはほんまなんか....」

トントンは悲しそうな顔をしたがその瞳はどこか安心したような雰囲気であった。

ゾム「話し続けるで？俺とあいつはとうとう二人になるまで生き残ったんや。そしたらなある日あいつが言いよってん。『みんな死んじゃった』ってな。あの時のギルの眼には光が一切無かってん」

そう語るゾムの表情は窺い知れなかった。