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これにも順一郎は頭を悩ませたが。彼はソウゴを信頼しきっている。故に「ソウゴくんなら同室になったからといって無闇に女性を襲ったりはしないだろう」と、ソウゴの部屋に入れることを決意したのだ。ゲイツとウォズの部屋に関してはただでさえ狭い部屋を二人で使っているわけだから、其処に彼女を詰め込むのは透子にとっても二人にとっても酷だろうということで、当然除外した。その折「何故ツクヨミの部屋は駄目なのか」という理由も聞いたが、透子から「喰っちゃいそうだから」という不穏な言葉が出た為に、彼はもう何も追求しなかった。──否、出来なかったのだ。そもそも自身が同室の男性に襲われる可能性は考えないのかとも聞きたかったが、そもそもそんなことをする男は此処には居ない為、順一郎は何も聞かなかったフリをして透子との契約を交わしたのだった。
そして、今に至る。
「っていうか、叔父さんに聞いたけどツクヨミと同室になったら喰っちゃいそうって何！？もうそこが意味が分かんないんだけど！」
「分かんない？そのまんまの意味なんだけどなぁ……。"犯しちゃいそう"ってことなんだけど」
ストレートな透子の物言いに、ゲイツらだけでなく今度は順一郎までもが頭を抱える。彼女の下宿を許してよかったのか。今ではそんな思いさえ湧いてきていた。
「あたしは一応バイセクシャルだけど、ビアン寄りでさ。それと可愛い女の子と見ると、気づいたら結構たらし込んじゃうとこがあってね。下宿にすれば自由に女の子連れ込んだり出来ないし、少しは真っ当に生きていけると思ったけど、超好みの黒髪ロング美少女と同室になっちゃあね……。いやぁ、参ったね？」
「参ったねじゃないよ！大体……。叔父さんも叔父さんだよ。なんで俺に聞かずにそんなことを決めちゃうのさ！」
ド正論を突き付けられ、順一郎は狼狽える。しかし、彼は一度溜め息をついてソウゴを真っ直ぐ見つめると。彼の肩に手を置いて口を開いた。
「ソウゴくん。叔父さんはね、ソウゴくんのことを信頼してるんだよ……。透子ちゃんは突然家を追い出されてしまって困っていたし、家を借りるお金も無かったみたいで。王様になりたいのなら、やっぱり困ってる人は助けるべきだと思うんだ。わかるね？」
王様なら、と言われてしまえばソウゴはぐうの音も出ない。順一郎はソウゴの弱点を熟知していた。「叔父さんがそこまで言うなら……」と、小声で言うと。
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作者名：サインバルタ | 作成日時：2019年6月15日 15時
