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怯えさせてしまったか。彼は胸が締め付けられそうになるのを抑えつつ、ただただ「ごめんな」と謝る。
「あ、いえ、その。大丈夫です……。先輩で安心しました」
安心した。その言葉に抑える胸がチクリと痛んだ。そして、先程の本気で怯える表情。あれは一体。そう聞きたかったが、震える彼女に単刀直入に聞けるわけもなく。戦兎は口をついて出そうになった言葉を飲み込んだ。考え込みボーッとする彼を他所に、少し落ち着いたのか季実子は倒してしまった椅子を元に戻す。そして未だしゃがみ込む戦兎の名をいつもより低い声で呼び。彼女はそのままの声で言った。
「今起きた事。誰にも言わないで下さいね」
彼はその言葉に何も返さなかった。否、返せなかった。彼女の怯えた顔が頭を過り、その根本の理由が──悪い想像が頭の中を占め始めたからだ。今を逃せば、聞くチャンスは無いかもしれない。だが、彼女の傷をこじ開けてしまうことになるかもしれない。しかし彼は知りたかった。知ることで彼女を闇から救い出したかったのだ。
「季実子、もしかして……！」
俯いていた顔を上げ、季実子に視線を向ける。それと同時に彼の口は止まった。こちらを見つめる彼女の視線が冷たい。何の感情も感じられない程の無表情で、季実子は戦兎をただただ見つめていた。分かるのは無言の圧力だけだ。「何も聞くな」そう言いたいのだろう。
「……なんでもない」
気圧され、戦兎はそのまま押し黙った。もしこの先を勢いに任せ言っていたらどうなっていただろう。彼女はすべてを打ち明けてくれたか。否、何も言わずに戦兎と距離を置くだけだ。徹底的に。もし彼女を救うことが出来るならば、彼としてはそれでも構わなかった。しかし、きっとそれだけでは済まない。彼女は付け入る隙も与えず、他の誰にも心を閉ざすようになるだろう。それが分かっていたから、戦兎はもう何も言えなかった。
沈黙が流れる。そんな時、賑やかな声が聞こえたと共に部屋の扉が開け放たれた。
「……何この空気？」
「あぁ、西城。起きたのか」
惣一と美空だ。自販機と図書室は同じ方向にある故、途中で合流して帰ってきたのだろう。惣一は元の席に着き、美空は戦兎の右隣に腰掛ける。
「西城」
惣一はこの部屋の空気を感じ取ったのか否か、柔らかい声で黙り込む季実子に話しかける。すると彼女は一瞬ピクリと肩を震わせ、惣一を見上げた。
「まだ寝なくて大丈夫か？」
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サインバルタ(プロフ) - 雪華さん» ちょっと存じ上げませんね… (2020年7月22日 21時) (
レス) id: 4afdb47c62 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - トランスフォーマープライムは知っています？ (2020年7月22日 16時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
サインバルタ(プロフ) - 横峯俊さん» わ〜（泣）ありがとうございます…！生憎只今一旦全て消して書き直ししているところですが、もっと良いものを書けるよう頑張りますので今後ともよろしくおねがいします…！惣一貴利矢さん推し見つけられて滅茶苦茶嬉しいです…！ (2020年1月26日 18時) (レス) id: 4afdb47c62 (このIDを非表示/違反報告)
横峯俊(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらっています！惣一さんも貴利矢先生も小説が少ないので、毎回楽しみにしています！ (2020年1月25日 9時) (レス) id: e7388357bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サインバルタ | 作成日時：2018年12月21日 5時
