・ ページ29
「そういえば季実子ってさ、年中カーディガン着てるよな。下もタイツだし」
思い出したようにポツリと呟く零子の言葉に、戦兎と自分は目を見開いた。
「そうだ音無さん！合宿で大浴場使ったよね。その時季実子はどうしてた？」
「……あぁ。明日那と三人で入ったよ。あんまりまじまじと見たわけじゃねぇけど。でも、特に腕や脚に痣とかがあるような感じじゃなかったな……」
「そっか……。まぁ、DVとかじゃないならそれに越したことは無いけど」
謎は深まるばかりだ。普通に不眠症なのかとも思ったが、それなら学校でぐっすり寝ていることに理由がつかないし……。完全に行き詰まった。
「あたしが、なんで年中そんな暑苦しい格好してるのかって、それとなく聞いてみるか。戦兎先輩じゃ探りを入れられてるって怪しむだろうし、貴利矢はセクハラ扱いされそうだからな」
「なんで自分だけセクハラ扱いなワケー？」
ちょっとおちゃらけてそう言えば、少し固い空気が和らいだ。結局分かったことは、両親が不仲な事と季実子ちゃんが年中長袖とタイツで居ることのみ。あまり収穫は無かったな。やはり、何か隠している以上本人に探りを入れるしかないか。
「でも、季実子ちゃん守り固いからな〜」
「わたしの守りがなんですか？」
と、その時。話の中心となっていた人物の声が耳に入り、自分達は思いきり体を跳ねさせた。声がした方を見遣れば、やはり季実子ちゃんの姿が。制服ではなくTシャツにスウェットと、本当に練習着のような格好である。だが、Tシャツもスウェットもやはり長袖長ズボンで、自分はその出で立ちに僅かに眉を顰めた。それよりも目を見張ったのは、季実子ちゃんの背後にくっついている女の子二人の存在だ。
「いやぁ、戦兎がどうやったら季実子ちゃんを攻略できるか話し合っててさ」
「攻略って……。ラスボスか何かですかわたしは」
どうやらこの説明は怪しまれていないらしい。安堵のため息をついていると、零子が口を開く。
「で、そこの二人はなんなんだよ？」
そう問えば、二人は隠れていた季実子ちゃんの背後から飛び出し(季実子ちゃんの方が小さいので隠れられてはいなかったが)、季実子の両脇にくっついて言った。
「わたし、季実子さんと一緒にマカロンズをやってる藤村愛花です！」
「同じく、ジェイミー・キャリー。デス！」
茶髪にメッシュ入りの方が愛花ちゃん。ブロンドの外国人がジェイミーちゃんか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 17人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サインバルタ(プロフ) - 雪華さん» ちょっと存じ上げませんね… (2020年7月22日 21時) (
レス) id: 4afdb47c62 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - トランスフォーマープライムは知っています？ (2020年7月22日 16時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
サインバルタ(プロフ) - 横峯俊さん» わ〜（泣）ありがとうございます…！生憎只今一旦全て消して書き直ししているところですが、もっと良いものを書けるよう頑張りますので今後ともよろしくおねがいします…！惣一貴利矢さん推し見つけられて滅茶苦茶嬉しいです…！ (2020年1月26日 18時) (レス) id: 4afdb47c62 (このIDを非表示/違反報告)
横峯俊(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらっています！惣一さんも貴利矢先生も小説が少ないので、毎回楽しみにしています！ (2020年1月25日 9時) (レス) id: e7388357bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サインバルタ | 作成日時：2018年12月21日 5時
