・ ページ4
仕草とかは子供っぽいんだけどな。
男子の団体行動も終わり、一年生のクラス対抗競技である綱引きが終わった後は二年生クラス対抗の二人三脚だ。これまで毎日欠かさずやってきた練習の成果を発揮する時が来たのだ。入場門から走って待機場所に着き、あたしと万丈は互いの顔を見て頷き合う。
「俺達のコンビネーションを見せつけんぞ！」
「あぁ。……お、季実子はトップバッターみたいだな」
A組は完全に背の順になっているらしい。対してあたし達C組は、練習の成果が著しくなかったペア順になっている。リレー形式だから、どれだけ序盤で躓いても、速いペアが終盤にその差を埋められるようにする為だ。あたしと万丈は、最初は五走者目だったがどんどん速くなっているということで最後から三番目である。尚、アンカーは梶のペアで、数日前に文句言っていた割にかなり相性が良いようだ。そうこうしている内に、季実子らを含むトップバッター三組がスタートした。それぞれのペアへの声援が向けられる中、三年生の方から声援に紛れて「季実子ー！結婚してくれー！」とアホな事を言っている声が聞こえる。振り向かなくてもそれが戦兎先輩の声であることは分かった。当の本人である季実子は、懸命に永島と共に掛け声を合わせて走っている。永島はやはりまだ動きはぎこちなかったが、練習しただけあってかなんとか順調に走っていた。
──そう思ったのも束の間。遂に永島がコケた。すぐさま季実子が奴に手を貸して立たせた為、追い抜かされる前にまた走り始めて一位のまま次のペアにバトンタッチだ。C組は予想通り今の所ビリッけつだが、恐らくこれからどんどん追い上げていくことだろう。
そしていよいよ、あたしと万丈の出番だ。あたし達は互いに顔を見合わせ力強く頷き合うと、スタート位置に着いて足首を結んだ。順位は今のところ一着がB組、C組が二着である。あたし達の手で勝利を掴み取るのだ。白線に足を揃え後ろを振り返れば、前の走者達が一直線にこちらへ向かってくる。B組との差も本気を出せば抜けそうな距離。ここで抜けば梶達も楽になる筈。前の走者がバトンを持つ手を伸ばし、そして……。青いバトンが万丈の手へと渡った。間髪入れず、万丈が「せーの」と合図の掛け声をかける。あたしは奴の掛け声に合わせ結ばれた左足を出した。練習通り、いい滑り出しだ。あたし達はすぐ目の前に見えるB組の背中を追い、掛け声を合わせながら練習より速いスピードで足を進めていく。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 11人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サインバルタ | 作成日時：2020年11月6日 10時
